お父さんかお母さんを独り占めできる日
――ダメなところではなくて、いいところに目を向けるのは子育てに限らず大切ですよね。岸家には月に1度、自分が生まれた日にお父さんかお母さんを独り占めできるという約束があるそうですが、これはなぜ始まったのでしょうか。
信子 私たちが考えたルールではなく、知人が実践しているのを聞いて真似したんです。子どもが多いと、どうしても一人一人との時間が取りづらくなってしまうので、毎月独り占めする日があれば、嬉しいんじゃないかと思って。
英治 子どもたちは喜んでくれたよね。毎月お母さんとファミレスに行って話したり、僕と海に行ったり。それぞれの子どもがやりたいことをリクエストして、実行していました。
信子 うちは誕生日とか節分、クリスマスなどのイベントごとは全力で楽しませようとしていたよね。毎年、どうしたら楽しんでくれるかなって考えて、工夫していました。どこかに出かけることはあまりできなかったけど、近くに海も山もあるから、毎年必ずキャンプに行っていました。
――少子化・晩婚化が進む一方で、子どもをたくさん産むことや高齢出産は親のエゴだという意見もあります。その辺りはどのようにお考えでしょうか。
信子 いろんなご意見の方がいらっしゃるのは承知しています。「子どもがたくさんいるってことは、結局親が好き勝手セックスして親のエゴでどんどん産んでいるだけじゃないか」とか「テレビでは子どもは楽しそうにしているけど、実際の気持ちはわからない」など。たまにそういうご意見を目にすると一瞬へこみますが、息子が「今ここにいる俺たちが楽しいって言ってるんだからいいんじゃね? 俺はこの家に生まれて嫌だと思ったことは一度もないよ!」と笑い飛ばしてくれたんです。
不自由な思いはたくさんさせてしまったけど、その言葉がすごく胸に響いて。子どもが1人だろうが10人だろうが、結局その親にできることは限られているから。その中で最大限に愛情をかけることが重要なのかなって思います。そして、大事なのは、一人一人の考え方を尊重することだと思うんです。
10人子どもがいることでできなかったこともあれば、10人いるからこそできたこともある。目の前にある現実で、自分ができる最大限は何なのか、それを一番に考えることが大事だと思いますね。
英治 私は最初は5人目でやめようと思っていたんです。5人以上は想像もつかなかったし、2人で面倒見るのは大変だと思っていて。でも、10人育ててみたら何にも大変なことはなかったし、むしろとっても楽しかったんです。
やってみないとわからないことってありますよね。可能性ってわからない。何事も挑戦してみるのはいいことだと思います。そして挑戦した人に対して、みんなが応援する!批判するんじゃなくて応援する!そんな世の中になったらいいな、と思います。
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