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落ち始めたら底なしの世界…知られざる“闇カジノ”と「負けた客」の行方

2022/06/27

genre : ニュース, 社会

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「ウグッッ」

 大勝負に敗れ、高坂は絶望のうめき声を漏らした――。

 闇カジノの世界では、全財産を失うほど負けさせることを「コロス」という。たとえイカサマ(ポンコツ)に嵌められたということでも負けは負け。闇カジノは“沼”だともいわれており、負け始めたら底なしで、数百万円から数千万円、場合によっては数億円も一晩でスッてしまうことがあるのだ。

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 筆者は取材のなかでなぜ騙されるとわかっていながら違法ギャンブルにはまるのか、それが不思議だった。かつて闇カジノにどっぷりはまっていた元プロ野球選手にその問いを投げかけると彼はこう答えた。

「例えるならば、先発して六回無失点で抑えたような高揚感が違法ギャンブルにはある。闇カジノ店に行くと、快投を続けているようなアドレナリンが出まくった状態になる」

 違法ギャンブルには、我々が知り得ないような快楽が存在するようだ。だが、その代償も大きい。

負けた客の行方

 負けた客はどうなるのか。高坂のような資産家であれば、負けた金額を払うことも出来るだろう。だが闇金などに借金を重ね、負けが込んだ客には別の試練が待ち受けていることになる。

 闇カジノで負けた場合、主に2つのパターンがあるといわれている。

 犯罪絡みの金だから法的な返済義務がない、と客がケツをまくった場合。巨人軍の野球賭博事件でも明らかになったように、借金を回収するために強面の人間が野球場に乗り込んできたりするのである。違法な金だからこそ危険。どんな裏の手を使ってでも回収する、という形になるのだ。

 もう一つは負けた本人を公証役場に連れて行って、公正証書を組んでしまうというパターン。店側が客をガチガチに固めてしまうというケースだ。こうすれば闇カジノの負け金ではなく、本人の借金となるので法的に返済義務が生じる。

 借金額によっては、本人を捕まえて(身柄を押さえて)海外で仕事をさせるというパターンもある。まるで、かつてのマグロ漁船のような話だが、近年は海外の工事現場で奴隷のように働かせたり、詐欺の手先の仕事に従事させ逮捕というリスクを負いながら借金を返させるというパターンなどが多いという。

 決して、我々が手を出すべきではない。あまりにも危険な世界が闇カジノなのである。

落ち始めたら底なしの世界…知られざる“闇カジノ”と「負けた客」の行方

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