昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

落ち始めたら底なしの世界…知られざる“闇カジノ”と「負けた客」の行方

2022/06/27

genre : ニュース, 社会

 飛び交う札束とチップ、そして東京の夜の裏側、人々の欲望と絶望をコントロールする世界――。

 筆者はこれまで闇カジノの実態についてのレポートを数多く書いてきた。その取材をベースにフィクション化したドラマ『ブラック/クロウズ』(フジテレビ系)が6月28日(火)24時55分~、7月5日(火)25時5分~の2回、前後編で放送されることになった。

 本稿ではそのドラマの舞台となった闇カジノの実態について改めて紹介したいと思う。

闇カジノに、どうやって客は誘われるのか

 私が闇カジノ取材を始めたのは、10年近く前のことだった。ある事件を取材しているときに、違法賭博店の詳細を取材することとなったのだ。

 違法ギャンブルの世界には、なぜか芸能人や野球選手が群がっていた。普通の人間には覗き見ることが出来ないアンダーグランドの世界は魅惑的であり、危険で、そしてスキャンダラスだった。

 一方でそこで行われている違法ギャンブルにも、さらに“裏”が存在することを筆者はやがて知ることになった。「ポンコツ」と呼ばれるイカサマが、闇カジノの世界には常に存在していたのだ。騙し、騙されという“ライアーゲーム”がそこでは行われているのである。

©iStock.com

 例えば闇カジノに、どうやって客は誘われるのか。以下に一例を紹介しよう。

 豪華なシャンデリアに高級ソファーが据えられた広々とした店内を、ドレスで着飾った美女がせわしなく行き交う。VIP室では絶え間なく嬌声があがる。シャンパングラスを傾ける男性に、客を値踏みする女性の眼差し――。

 六本木のクラブXは男性にとって魔境だ。客は企業役員にベンチャー経営者などの堅気から、半グレや詐欺集団の幹部などブラックな面々たちとその素性は様々だ。目立つ客の共通点は、みな“金持ち”であることだ。

「堅気か、それはいい。誘ってみろ」

「おいミキ、あの客は何の仕事をしているんだ」

 Xの支配人である田尻健一(仮名、以下同)は、人気キャバ嬢ミキをバックヤードに呼びつけて話し込んでいた。

「高坂さんのこと? あの人、オーナー会社の御曹司みたいだからコレはたんまりもっているかも(笑)」

 ミキは親指と人差し指で円を作ると、ニヤリと笑った。

z