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 色彩が鮮やかでかわいらしい土人形は、昭和7年まで作られていた佐渡の郷土玩具、八幡人形。製作は前後の型にそれぞれ土を埋めこみ、平らになったところで型から抜き、前後を合わせて1個の人形とする。これを素焼きにして着色すると八幡人形の完成である。

佐渡の郷土玩具「八幡人形」

 かたちは同じでも、色は人が描いているため、それぞれ個性があり表情がかわいい。雛人形として親しまれたほか、福助・恵比寿・大黒などは縁起物としての人気も高く、島外へも広く売り出されていたという。

 佐渡のみやげ屋などで見かける佐渡の赤玉石。佐渡島でしか採れない石であり、昭和55年以降は採掘が禁じられているため非常に貴重なものだそう。赤玉石は非常に硬く、磨くと美しい褐色に輝くことから、観賞用の石として昔から貴族や武士からの人気が高かった。特に優れた美しさをもつものは、金山で採れる金よりも価値があったとされ、豊臣秀吉や徳川将軍家など時の権力者に献上されたという。

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佐渡島でしか採れない「赤玉石」

 飾られているものはどれもこれも価値ある貴重な品ばかりで、目の利く宿泊客が来ると大変驚かれるのだそう。

かつては20軒あった佐渡島の遊郭

 玄関に残されている立派な看板には、「金澤楼」と書かれている。聞くとこれが遊郭時代の屋号であると。旅館の前の道路で拡張工事が行われて建物と道の配置が変わってしまったが、以前は道路に面した位置に門があり、この屋号が架かっていたのだという。

玄関に飾られた金澤楼の看板

 昭和の時代、このあたりの港の南側には5~6軒の遊郭が並んでおり、毎晩どんちゃん騒ぎが続く賑やかな通りだったのだそう。明治時代まで遡ると10軒ほど、港の北側、夷(えびす)という地域には20軒の遊郭があったという。遊郭時代の話や佐渡島の歴史など、いろいろ教えてくださり、大変興味深い。