このところ値上げが続いている。もちろん企業は自身の収益を考えて値上げする自由があるが、どちらかというと、コストが上がったためにやむなく値上げに踏み切る企業が多い。
先月まで、サプライチェーン関係者のなかでは四大苦が到来したといわれていた。「原油高・食料高」「円安」「ウクライナ戦争」「中国のロックダウン」だ。最後の「中国のロックダウン」は緩んだかもしれないが、それでも今後、世界各地のどこで生産が止まったり、物流が止まったりするかわからない。
日本企業はこれまでコスト削減の努力や、生産の合理化を重ねて最終商品の値上げを抑制してきた。しかし、「原油高・食料高」「円安」「ウクライナ戦争」「中国のロックダウン」等の要因は日本企業が解決できる問題ではなく、苦渋の選択で値上げを選択している。そして当然だが、消費者にとって商品の値上がりは重荷になる。
実際に発表された消費者物価指数を見てみよう。2022年5月、約1年前に開始した携帯電話料金の引き下げの影響があったにもかかわらず、前年同月比で総合2.5%上昇した。生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合はそれぞれ2.1%、0.8%と上昇している。
景気回復を伴わない現在の値上げは、消費者からすると「給料は増えないが、商品の価格だけが上がっている」と映るかもしれない。
7月から8月にかけて、さらに本格的な値上げか
さきほど「原油高・食料高」をあげた。
●原油:2年間の推移では、市場にもよるがWTIで1バレル約$16だったものが、2022年4月には$101になっている。これは6倍強に値する。原油が上がれば多数の商品の値上がりに直結する。ガソリンはもとより、樹脂などのプラスティック製品まで、生活の隅々に影響する。
●食糧:食については何を指標とするかで異なるものの、とうもろこしなどは国際価格が2年前から3倍ほどに上昇している。大豆も倍。コメは比較的に安定しているものの、小麦の売渡価格は4月に前期比で17%ほどの上昇。値上げが相次いでいるが、在庫が切れた7月から8月にさらに本格的な値上げが予想される。