宗匠役に俳人・金子兜太を迎えた外国人句会。正岡子規の臨終の住まい子規庵を舞台にした【初夢編】に続く2回戦の季題は「大根」。7カ国対抗俳句バトル、スタート!
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スリランカでは蕪は食べるけど、大根は食べなかった
金子 では2回戦「大根」に行きましょう。大根は冬の季語ですが、みなさんの国では食べるんですか?
楊 和食で初めて食べました。
ゾペティ ヨーロッパにはあまりないんじゃないかな。
ヴルピッタ もう20年も前になりますが、イタリアの種屋には大根の種があって、私は栽培してました。
ウイッキー スリランカは蕪は食べるんですが、大根は食べなかったな。
金子 では13句お披露目です。
大根煮芥子たっぷり汗が出る
大声で抱きあげられて桜島
キス奪ひ大根の味愛しいぞ
手にさげる大根の葉にくすぐられ
雪けむり湯畑はたく大根かな
初雪や大根の肩は冷えるかも
だいこんのセール目立てる商店街
青皿の大根おろしの雪景色
妻睨む大根作家のままかな
大根や雨に妖しき白の列
湯上りに鰤大根を北の旅
軒先に大根干して陽を誘う
人参に囁きかけて紅白に
ありゃりゃ、すけべえだなあ
金子 最高は4点句で、2句ありました。まずは「大根や雨に妖しき白の列」。
楊 畑に並んでいる大根を実際に見たことはないんですが、雨でもやもやしている時には女性の脚にさえ見えるんじゃないかな。そんな連想がふくらむ面白い句でした。
ピーター 雨で土が流されて、畑から顔を出している白い大根の列が鮮やか。一瞬なんだろうと思わせる風景を観察力の強さで詠んでいる。
ゾペティ 「妖」の字が効いていますよね。妖艶、妖精、美しいという意味でのあやしさを気に入って取りました。
ウイッキー 私も女性の脚を想像しました。スリランカの人は女性を脚から見ていくんですよ。それで日本に来て間もないころにワイフにそんなことを話したら「ダメよ、私大根足だから」って言うんです。
金子 ありゃりゃ、すけべえだなあ。