USBメモリの使い方を知らないことで話題になっていた自民党の桜田義孝元五輪担当相が街頭演説中に変なことを言ったそうで、またしてもタイムラインが荒れに荒れていた。

「国内において、少子化は大変な問題なんです。今、結婚しても、お子さんをつくらない。結婚しない男女が結構多いんですよね。50歳の男の人で、20%が独身だっていうんですよ。パートナーがいない。

 ちょっと言いづらいことですが、男の人は結婚したがっているんですけど、女の人は、無理して結婚しなくていいという人が、最近増えちゃっているんですよね。嘆かわしいことですけどもね。女性も、もっともっと、男の人に寛大になっていただけたらありがたいなと思っている。

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 ちょっと問題発言かなと思うんですけども。男の希望としては、そういうことを思っているということでございますので、よろしくどうぞお願いいたします」(千葉県・JR柏駅前での街頭演説にて)

たびたび問題発言をしてきた桜田義孝元五輪担当相 ©文藝春秋

少子化は女性のせいだろうか?

 率直に言うと「こんなにも世間知らずでいて、どうして政治家を続けていられるのだろう」と思うのだけれど、そもそも結婚・出産をしない女性がさも悪い存在であるかのように言っている時点で、桜田氏にとって女性とは「男性の伴侶となって夫を支え、子を産み殖やし、育てる存在」なのだろう。

 結婚という、人生における重大な女性の意思決定や選択を無視し、さらに「結婚したいと考えている男性のために寛大になれ」といった人権軽視的、女性蔑視的な発言にはほとほと呆れ果ててしまう。

 日本において古くから続いている「家父長制」の中では、確かに女性は桜田氏が認識しているように「夫に付き従い、家の中で子育てと家事を行う存在」としての役割を社会から押し付けられてきた。もちろん、職業選択の自由も経済的な自立も、女性にとっては夢のまた夢であった。しかし平成以降、こうした女性差別が少しずつ見直されていき、不完全ではあるものの、今では女性にも高等教育を受ける権利や、自由に職に就く権利が取り戻されつつある。

 それでも、桜田氏のようにいまだ「男性は結婚を望んでいるが、女性が寛大にならないから少子化が解消されない」と考える人は少なくない。「寛大な女性」とは、一体なんだろうか。