このような状況を鑑みると、結婚・出産適齢期といわれる世代にとって経済面・体力面での不安は大きいはずであり、「結婚して子どもを持とう」と決断できるカップルが減少していくのは当然の結果だろうと思う。現実的に考えて、いくら子どもが欲しかろうが「出産・子育て」が当たり前のようにできる時代は終わり、無責任に子どもを持ちたくないと考える人々こそ、慎重にならざるを得ないところまで来てしまっているのだ。
少子化の背景には、個人の責任や努力ではどうしようもない社会構造的な問題があるにもかかわらず、子育て支援の拡充なり賃金見直しなりを行うのではなく、あたかも女性に責任があるかのように「女性が寛大になれ」と言われてしまうと、こちらとしても「あなたは何のために政治やってるんですか? 君は何をされてる方なの?」と言い返したくなる。
高齢にともなう不妊のリスクなど、もとより承知の上である。それでも今、無理をして産むことがどうしてもできないのだ。
桜田氏のいう「寛大な女性」とは、こうしたリスクを考えず、自分のキャリアや経済的自立を捨ててまで無理に男性と結婚し、子を産み育てる女性を指している。あまりにも女性蔑視的で、人権意識が欠如した前時代的な認識であると思う。
「わがままを言うな」「言い訳をするな」と言われることも
さすがに我慢の限界なのでいわゆる「結婚適齢期」と言われるいち30歳女性の本音を以下、スレッドに書きますね。
— 吉川ばんび (@bambi_yoshikawa) July 5, 2022
「女性はもっと男性に寛大に」少子化、未婚めぐり自民・桜田元五輪相:朝日新聞デジタル https://t.co/LYH6ZzqUII #参院選2022 #自民
上記のような苦言をTwitterで呈したところ、複数人の男性から「産まない言い訳をするな」「結局は金のことばかり考えている。わがままを言うな」というお叱りの声をいくつかいただいた。
そもそも「子どもを持たない」選択をしている女性に対して「わがままを言わずに産め」と強制すること自体が人権無視以外のなにものでもないのだが、女性は産む機械でもないし、少子化を食い止めるためにお国に身を捧げる存在でもない。一人の人間であり、人生を自由に生きる権利を持っている。
今回の発言は、女性を、国民をひとりの人間としてではなく、少子化対策のための道具としか考えていないからこその、身から出た錆ではないか。