昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2022/07/08

「適齢期」の女性のリアル

 私は30歳の女性であるが、今現在はまだ子どもを持つ予定はない。子どもが欲しくないわけではないが、出産を先送りにするもっとも大きな理由は、日本ではまだ女性にとってキャリア形成と子育ての両立が難しいためである。

 一般的に今の日本の賃金では、1人分の稼ぎで子どもを産み育てることは到底難しい(2018年の1世帯あたりの年収の平均値は552万3000円で、1995年からは100万円以上も減少している)。

 多くの会社では出産して1、2年もすれば職場に復帰しなくてはならず、この時点で保育所が見つかっていなければ退職を余儀なくされてしまう。保育士の給料は相変わらず低く、賃金が上がらないため慢性的な人手不足が続いており、待機児童問題もなかなか解消には至らない。さらに定年はどんどん延びており、昔と違って親世代もまだ働いているため、両親に子育てを手伝ってもらうこともできない。

©iStock.com

 決まった時期までに保育所が見つからなければ会社を退職し、その後再就職をしたくても「適齢期の女性」というだけで就職のハードルは跳ね上がる。子どもがいなくとも、20代後半にもなると、面接では「結婚の予定は?」「子どもはいつごろ産むつもりか」などと根掘り葉掘り聞かれ、予定がないと答えても、性別を理由に落とされてしまう。そうすれば女性に残されているポストは非正規雇用やパート、派遣、アルバイトばかりで、収入は安定しない。そして、コロナ禍において真っ先に首を切られたのは、こうした非正規雇用の女性たちであった。

「出産・子育て」が当たり前のようにできる時代は終わり

 かと言って男性1人の稼ぎで家族3人が十分に生活できるかというと、よほど稼ぎのある場合でない限り難しい。さらに離婚や死別でひとり親家庭になれば、貧困率は圧倒的に高くなる。特に女性の場合、経済的に自立していなければ生活を夫に依存せざるを得なくなり、家庭内でDVなどの問題があっても逃げられないなど、安定した収入がないことで被るリスクは非常に大きい。

z