参院選でも焦点になったように、日本の少子化がヤバいことになっている。2021年の出生数は過去最低で、婚姻数も戦後最少。とくに東京が深刻で、合計特殊出生率(15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)は1.08と全国でもっとも低い。
その一方、けっして経済的に豊かというわけではないのに、物価の高い都内でたくさんの子どもを育てる人も存在する。
たとえば、そのひとりが江戸川区で飲食店を経営する柳田亮太さん(仮名、42歳)だ。柳田さんとその妻のあいだには6人の子どもがいる。都内に住みながら6人もの子どもを育てるのは大変ではないのか。柳田さんに話を聞いた。(取材・文=押尾ダン/清談社)
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夫婦合わせて手取り21万、結婚してすぐに出産
──まず子どもたちの年齢や男女構成を教えてください。
柳田 ひとつ年上の妻とは僕が社会に出たばかりの22歳のときに結婚しました。そのときハネムーンベイビーとして誕生したのが長男(19歳)です。その2年後に長女(17歳)が誕生し、長女が生まれた3年後に次男(14歳)ができました。
さらに次男の2年後に三男(12歳)が生まれ、その2年後には次女(10歳)が誕生。そこから少し間隔が空いて、次女が生まれた4年後に末っ子の三女(6歳)が誕生しました。
──長男が19歳で末っ子の三女が6歳。20年近くの間、ご夫婦はずっと妊娠・出産・育児のサイクルを繰り返していることになります。なぜ6人も子どもをつくろうと思ったんですか。
柳田 僕は3人兄弟で、上に兄と姉がいます。妻も同じです。そのおかげで幼少時代は楽しかったんですよ。だから、結婚したときから子どもは3人ほしいと思っていました。すると、うまい具合に男の子、女の子、男の子と3人できて。こうなると欲が出てくるんですよね。女の子がもう1人ほしいという。
それで4人目に挑戦したら三男が生まれた。ただ、これだと男の子3人、女の子1人なので、男女比のバランスが良くないじゃないですか。そこでもう1人つくろうという話になり……。こんな感じで、気がついたら6人になっていました。
2人で力を合わせればなんとかなると思っていた
──意外とあっさりとした理由なのですね。
柳田 そうですね。3人目が生まれて以降は、言ってみればエクストララウンド(延長戦)のような感じでした(笑)。もともと結婚自体が見切り発車で、妻と結婚したとき、僕の給料は15万だったんですよ。健康保険や年金、家賃を払うと手元に6万しか残らなかった。それなのに結婚してすぐ子どもができたんです。