後悔しても始まらない
後悔しないというわけではない。けれども、後悔しても、起こってしまったことは変わらないという現実をできるだけ早く受け止めたほうが次につながる。そういう意味で、過去をマイナスにとらえて振り返るということをしないようにしている。
例えば、2014年のオフにフリーエージェントによるメジャーリーグへの移籍を表明したが、結果的には契約合意に至らず、夢を断念する形となった。よく、あの時にメジャーリーグに行っていたら……ということを言われる。確かに大きな目標にしてきたことだが、自分が精一杯やってきた日々の結果でもある。もう少し努力できたのではないかとも思わないし、自分が選択した結果なのでなんの後悔もしていない。
メジャー移籍のための最低条件を決めたのも自分だし、交渉の期限を決めたのも自分だ。他人からはメジャーに行けなかった……と見られるかもしれないが、自分からすると条件が合わなかったのでメジャーに行かなかっただけだ。どんな条件でもいいから、ただメジャーに行きたいとは最初から思っていなかった。
阪神甲子園球場という土のグラウンドを本拠地とする阪神タイガースを選んだ理由のひとつが、将来的にメジャーリーグでプレーするための準備だったことは間違いない。だが、もし東京ドームを本拠地とする読売ジャイアンツに入団していたら、もっといい個人成績が出せて、メジャー移籍が実現していたかもしれない。
その半面、もしメジャーに行くことができたとしても、まったく通用せず、すぐに日本に帰ることになってしまった可能性もある。
要は、何かを選択した瞬間から、選択をしなかったことについて「もし○○だったら」みたいなことは極力考えないようにしている。たとえどの選択をしても、最終的にはたどり着くべき結果にたどり着いて終わる気がするからだ。まずは、現実に起こってしまった結果を受け入れる。そのうえで、どうしたいかを次に考える。そのために必要な準備を始める。という流れになれば、悩むということと同じく、後悔している時間がなくなるのではないだろうか。
そもそも物事は、成功するものではなく、失敗するものだと思っている。その失敗を受け入れやすくするために、何を選択するかは自分で決めるし、そのための準備を怠らない。最終的に何かを成功させるために大事なことは、いかに数多く失敗して、いかに早く次のチャレンジに向かうかということだと思う。どうせ失敗しても、大したことにはならないのだから。