ショッピングモールや遊園地などで開催されるウルトラマンショーに、親子2代のファンが詰めかける姿は、よく目にする光景だ。
「でも、高学年くらいになってくると、子供が先にウルトラマンを卒業してしまったんです。さらに反抗期になると、いつまでもウルトラマンのオモチャを集めている父親のことを毛嫌いするようになり、すっかり口も利かなくなりました。
夫もオモチャを思い切って手放してしまえば、父親としての威厳を取り戻せるんじゃないかなと思うんですけど、いまだに書斎はウルトラマンだらけですね」(高宮さん)
「エリート意識が高い」「交わらない」
特撮ファンは頑固で、こだわりの強いタイプが多いと指摘するのは、特撮関連イベントなどを手掛ける会社でスタッフを務める倉田覚さん(仮名)だ。
「個人的には、特撮ファンはアニメファンより始末が悪いと思います。いまのアニメファンって、みんなで楽しもうという空気がありますが、特撮ファンはエリート意識が高く、交わらない。承認欲求が強くて、仲間内で自分の知識やコレクションを自慢したり、マウントを取り合ってます」(倉田さん)
ネットなどでも、昔の作品について何度も考察し、ずっと論争しあっているという。
「狭い世界なので、同じ業界内やファンのコミュニティが濃い。それでも作品についてだけ語ってればまだいいんですが、関係者の訃報が出たりしたときに製作者や俳優が無反応だったりすると『あいつは特撮出身なのにコメントしていない』などと、ネチネチと指摘しあってます」(倉田さん)
先述したように特撮ファンは細分化されており、推している作品によってもファンの傾向は分かれるという。
「特撮の王道は『ゴジラ』なんですが、この界隈のファンは厄介です。いわゆる『怪獣好き』もここに入りますが、歴史がある分、この道何十年という筋金入りのマニアがたくさんいて、資料や証言で武装しながら攻撃してきます。『俺の好きなゴジラしか認めない!』という連中が多く、常に主張をぶつけ合っているバトルロイヤル状態です」(倉田さん)
もちろんウルトラマンファンも負けず劣らずのこだわりがあるが、こちらは作品数が多いぶん、世代ごとにファン層がハッキリと分かれるのが特徴だという。