「電王」からファンになった人の特徴
佐藤健が主演した『仮面ライダー電王』は、そのユニークな設定でヒットしたが、これを認めない古参の仮面ライダーファンも多いという。
「逆に電王からファンになった人は、ライトで明るいですね。ただアニメファンと同様に、同族で群れたがる傾向はあります。作品へのこだわりはそれほど強くなくて、ファン同士のコミュニティを楽しんでいる。
戦隊ヒーローファンも、ちょっと近い雰囲気ですけど、これも大きくは【20世紀戦隊派】と、【21世紀戦隊派】で分かれます。20世紀派は、70~80年代の変身ブームの頃のマイナーな特撮も好きですね。
21世紀派はキャストのファンが多いです。イケメン好きな女性ファンだけでなく、最近はヒロインや悪役にアイドルやセクシー女優などがキャスティングされるようになったので、それ目当てのお父さんファンもたくさんいます」(倉田さん)
他にも『宇宙刑事ギャバン』などの「メタルヒーロー」、かつてのニチアサの定番だった「東映不思議コメディー」シリーズ、昭和のブーム時に乱発されたピープロや宣弘社などのB級特撮ファン、そして孤高の『サンダーバード』マニアなど、あらゆる作品に熱心なファンがついており、いつまでも追い続けている状況のようだ。
では究極の特撮ファンとは、どういった形なのか。前述の編集者中澤さんは語る。
「好きな特撮を追い続けたファンは、いわゆる『中の人』になっていることが多いです。今の特撮作品に関わっているスタッフやシナリオライターは、もともと熱狂的なファンという人ばかりですし、オモチャのコレクターだった人が、今はメーカーとしてソフビ人形を作る会社を経営してたりします。
そういう意味で、究極の特撮ファンは庵野秀明さんですよね。自分の好きな作品を、好きなように改変して、それを公式で作ってしまうんですから」(中澤さん)
そんなファンあがりのクリエイターを眩しく感じつつも、「ここが甘い」などと突っ込みを入れてしまうのが、特撮ファンのサガのようだ。