「バイト先から『明日から来なくていいよ』と言われて…」石油一族に生まれた大学生が、親に内緒で起業した理由

最低でも初期投資が500万円くらいかかる見込み

一ーそれで、化粧品のビジネスはすぐに軌道に乗ったのでしょうか。

ノニー　会社を立ち上げて、いろいろ進めていたんですが、化粧品だとロットが多いので、最低でも初期投資が500万円くらいかかる見込みでした。でも、私は親に内緒でやっていたので、500万円もポンって出せないじゃないですか。

　それで化粧品は諦めて、ジュエリーに方向転換しました。シリコンバレーでVC（ベンチャーキャピタル）をやっている姉に相談したら、アメリカではInstagramを使ったBtoCビジネスがどんどん広がっているから、これから日本でもきっと流行るって言われて。イランにもルーツがあるので、アラビア文字のオートクチュールのジュエリーをSNSで売り始めました。受注生産だったから、初期投資は会社の登記代の6万円だけですよ。

　Instagramでとにかくいろんな人にメッセージを送って、口コミで広がっていきました。

　そしたらモデルの道端アンジェリカさんも「すごく良い」って褒めてくださって。それからテレビに取り上げられたことも重なって、あっという間に会社は大きくなりました。

お金持ちなのに働く理由

一ーInstagramのライブ配信で、競りのようにジュエリーを売ったりしていましたよね。

ノニー　ちょうど昨日もインスタライブをやってたんですけど、たくさんの方が30万円、40万円の商品を買ってくれました。品質の良いものを世界中から輸入して、洗練された日本の職人さんが作ってくれる貴重なジュエリーなので、その価値が伝わってるのはすごく嬉しいです。

一ー自分の会社を経営しながら、大学を卒業されました。そのエネルギーはどこから来るのでしょうか。

ノニー　よく「そんなに金持ちならのんびり生きたらいいじゃん」とか「なんで働くの？」って聞かれるんですけど、人生を豊かにするために働いています。だってお金だけあっても毎日ゴロゴロしていたら暇じゃないですか。自分が生き生きと仕事をすると、周りに同じような人が集まるんですよね。そういう同じ考えを持った方と切磋琢磨しながら頑張るのがとっても楽しいです。

写真＝山元茂樹／文藝春秋

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