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冬に夏服でドアたたいた妊婦…支援必要な「特定妊婦」 妊娠から自立まで“孤立”から救う取り組み【兵庫発】

source : 提携メディア

genre : ニュース, 社会, 人生相談

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あけみさん:
病院でその子と別れて、ここで療養させてもらってる間、最初の3週間くらいかな…なんか訳も分からず涙が出てきて。自分でもびっくりするくらい、急に大粒の涙がこぼれたりとか。
最初はもう感情ぐちゃぐちゃになってたので、それこそ夜にウッてきた時に、ここのスタッフさんにお話聞いていただいたりとか。要所要所でケアしてくださっていたので、ちょっとずつ気持ちが、落ち着いて整理できてきたのかな

 

あけみさんは、産後をこのMusubiで過ごしながら、生まれて初めて就職活動をした。
5月には県内の企業への就職が決まり、自分で借りたアパートで一人暮らしを始めた。

あけみさん:
全然違う仕事を始めたっていうのもあって、毎日慣れないことしているから、ものすごい疲れてるのと同時に充実感もあるし、一日一日、教わりながらでも、自分一人でできることがちょっとずつでも増えたら、「やったー」ってなりますし

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Musubiがあって救われたと話すあけみさん。一つ目標ができた。

あけみさん:
この先、私がちゃんとしていって、あくまで自分の心の中での話ですけど…その子に対して誇れる自分でありたいな、みたいな、ぼんやりしたことを考えていますね

 

永原さんもスタッフも、あけみさんがMusubiに来た日を覚えているという。
真冬に寒々しい夏服でドアをたたいた、ひとりぼっちの妊婦。今ではもう、あの日の頼りない面影はない。

永原さん:
本当に「ここまで来て良かったね」っていう思いと、「しんどいことがあったからこそ、こんなに素晴らしい人生を得たんだ」と、そういう人生に変えてほしいというか、そういう人生を歩んでほしいという応援ですね。
本当にこれを始めて良かったなって、命が守られたなという方が何人もいらっしゃるので、本当にここを思い切ってつくって良かったと思っています

 

妊娠中から支援が必要とされる「特定妊婦」の数は、年々増加している。
2019年時点で8000件を超える登録があったが、表に出ているのは氷山の一角と言われており、乳児遺棄といった痛ましい事件も起きている。

赤ちゃんの、そして母親の命や人生も守る。
安定して支える仕組みづくりが全国に広がることを、永原さんたちは願っている。

 

★「小さないのちのドア」への問い合わせ先(兵庫県民以外の方でも利用できます)
電話:078-743-2403(24時間)
LINE ID:@inochinodoor
Email:inochi@door.or.jp

(関西テレビ「報道ランナー」2022年6月27日放送)

冬に夏服でドアたたいた妊婦…支援必要な「特定妊婦」 妊娠から自立まで“孤立”から救う取り組み【兵庫発】

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