Q 上野動物園のシャンシャンは、なぜ中国に帰らなければいけないんですか?

 上野動物園のパンダ・シャンシャンは12月12日で産まれて半年。本当に可愛いです。シャンシャンも中国からのレンタルで、いずれ中国に帰らなければならないそうですが、なぜでしょうか。日中友好の印としてプレゼント、というわけにはいかないのでしょうか。(60代・女性・主婦)

A ワシントン条約の発効によって、ジャイアントパンダの国際取引が禁止されてしまったのです。

 そう思ってしまいますよね。かつてはカンカン、ランランが日本にプレゼントされたこともありますから。

 しかし、時代は変わりました。いまやジャイアントパンダは絶滅危惧種の動物。1975年、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)が発効し、ジャイアントパンダの国際取引は禁止されてしまったのです。

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 このため現在は他国へのプレゼントはできず、レンタルという形になります。

 シャンシャンの両親のリーリー(父)とシンシン(母)は、東京都が中国から借り受ける形で2011年に日本に来ました。このとき生まれた子どもについては「生後24か月で返還する」という協定を締結しています。シャンシャンは早ければ2019年6月に中国に帰ってしまう可能性があるのです。

生後6ヶ月の「シャンシャン」 ©時事通信社

 パンダは世界各地で人気。そうなると、中国政府は、このパンダ人気を政治利用しようともするのです。

 2005年、中国政府は台湾にパンダ一対をプレゼントすると発表しました。国際取引が禁止されているのに、なぜプレゼントできるのか。それは、中国政府が「台湾は自国の一部」との方針を持っているからです。中国から台湾にパンダを贈ることは、国際取引ではなく「国内移動」だという理屈です。

 しかし、当時の台湾の総統は、台湾独立の志向が強い陳水扁総統。中国の「策略」に反発し、パンダを受け入れようとはしませんでした。

 ところが、2008年の総統選挙で、中国との関係を重視する国民党の馬英九が当選すると、パンダのプレゼントを受けると方針転換。2頭のパンダは台湾海峡を越えたのです。「台湾は中国の一部」という中国政府の主張を台湾も認めたと政治的に利用されたのです。

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