「野食家」として、さまざまなメディアで情報発信している茸本朗(たけもと・あきら)さん。今回は、オススメの「野食スポット」を案内してもらいながら、食材や野食の魅力を聞いてみた。(全3回の2回目/#1#3を読む)

茸本さんが「都市で餓死することはまずない」と語る理由とは?

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「野食の知識があれば、都市で餓死することはないと思います」

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 自称「プロの拾い食いマン」という野食家・茸本朗さんは、そう語る。しかし野生のものを採って食べる「野食」では、何を食べることができるのか? また本当に満足できるほど、食材が手に入るのか? それを確かめるべく、茸本さんイチ押しの野食スポット「河川敷」を案内してもらった。

 一緒に向かったのは、多摩川。山梨、東京、神奈川を経て東京湾へと流れ込む、一級河川である。近年、外来種であるピラニアやアリゲーターガーなどの熱帯魚が生息していることから、「タマゾン」(多摩川+アマゾン)なる異名がつき、カオスなスポットとなっている。

河川敷はちょっとした「食料庫」

――野生のものは海や山でも手に入るように思えますが、茸本さんが「河川敷」をおすすめする理由は?

茸本朗さん(以下、茸本) まずは法律上、河川敷は植物や生き物を採取してもいいことになっているからです。河川法により、河川敷で採取した植物や動物の自家利用はオッケーなんです。

 逆に禁止されているのは、樹を切ったり地形を変えたり、採ったものを販売したりすること。夜間の釣りもNGです。他の場所、例えば里山などの私有地で採ると、何らかの犯罪になる可能性があるので気軽に採取してはいけません。

 僕は基本、都心に住みながら野食をするというスタイルで活動しているので、日本は都会からアクセスしやすい場所に河川敷があるのが、非常に素晴らしいと思っているんですよね。

取材班は茸本さんの多摩川ハンティングに同行した

――河川敷で採れたものだけを食べていて、栄養が偏るなどの心配は?

茸本 季節によって多少偏りは出るでしょうが、基本的な栄養素は補えるはず。多摩川の河川敷には穀物が生えているので、炭水化物はまずOK。植物は知識がないと採取に苦戦するかもしれませんが、葉もの、根もの、さまざまな植物が食べられます。フルーツ系なら、クワの実やアケビ、山ブドウの一種であるエビヅルなどの里山でも採れるような果実があります。

 たんぱく質は、ヘビやカメなど爬虫類と魚が非常に期待できる。だから日本の都市に住んでいて、餓死することって基本ないと思っています。この河川敷は、ちょっとした食料庫ですよ。