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釣り人から嫌われる毒魚「アイゴ」 “ヤバい激臭”を放つ内臓ごと食べてみた

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アイゴの繁殖が生態系に影響を及ぼす?

 アイゴ地獄で釣り人が泣きを見るだけなら、我々が我慢すればよい。しかし、神奈川県の三浦半島では、アイゴの繁殖が原因で磯焼けが進んでいるという。

 磯焼けとは、岩礁帯に生えたコンブなどの海藻を植食生物が食べることで、磯が剥き出し状態になる現象をいう。海藻の減少は海洋生物の産卵場、稚魚の餌場、身を寄せる隠れ場の消失にも繋がるので、少なからず生態系に影響が及ぶ。

海のゆりかご的存在の藻場が減少してきている

 磯焼けの原因はアイゴに限った話ではなく、ガンガゼの摂餌行動や海水温の上昇など複合的ではあるが、三浦半島の相模湾側のアマモの減少がアイゴによる可能性が高いとの報告もあるほど影響力は高まっている。

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イシダイの特餌としても知られるガンガゼ

 私も以前、城ヶ島で釣りをした際に堤防にいる釣り人全員がアイゴしか釣れなかった時は、状況の深刻さを身をもって実感した。そりゃバリ島と呼ばれるわけだ……。

 もちろん、この無限に湧くアイゴの生命を維持する食料供給源は容易に想像できた。

 釣り人に何かできないか、微力ながらも釣れたアイゴを食べることにした。

実際に釣ったアイゴを食べてみた

 アイゴを食べるうえで注意する点は毒鰭の切除だ。今回は釣った後に脳天締め、血抜きを施して、完全に動かなくなったことを確認して毒を持つ背鰭、腹鰭、尻鰭をハサミで落とした。

鰭をカットしたアイゴ

 本来ならこの時点で内臓も取り除く。しかし俗称の由来からすると想像しがたいが、内臓こそアイゴの真の味覚であるという地域もあるほど実は美味いらしい。ならばと直ぐにでも取り出したい衝動を抑えて、検証としてそのままクーラーにしまった。