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釣り人から嫌われる毒魚「アイゴ」 “ヤバい激臭”を放つ内臓ごと食べてみた

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 ほのかに苦味とコクがある。不快な香りも一切なく、サザエの殻の奥に詰まった肝のような珍味感。内臓の表面に見えた白っぽい部位は脂であり、これもまた濃厚でお酒に合う。

見た目以上に美味しい!

 生の状態ではとても食べ物に見えなかったが、今となっては身よりも内臓を重宝する方々の気持ちが理解できる。

 今回釣ったアイゴは6月で抱卵していたため身の味が落ちていた可能性が高く、実は昨年10月に釣った30cmのアイゴの方が身に脂が乗って旨味があった。

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脂が乗った秋のアイゴ

 冬眠前の荒食いで肥えていたかもしれないので、食べる時期は秋の方が良さそうだ。

未利用魚からの脱却

 美味しいことが分かったので、アイゴの釣り方を紹介したい。

 掌サイズを釣りたければ、コマセをしっかり撒いてサビキ仕掛けを投入すると釣れる。大型は引きが強く、サビキ仕掛けが切れてしまう恐れがあるので、ウキ仕掛けでハリスを2号以上、付け餌をオキアミにすると豪快なファイトまで楽しめる。

 ちなみに過去の釣果では渓流用のブドウムシやミミズでも釣れたので、餌を選別することなく手あたり次第捕食している。釣ること自体は難しくない魚だが、毒針の処理には気を付けていただきたい。

 アイゴをどうしても釣りたい方は、バリ島こと城ヶ島の堤防や沖堤防をオススメする。繁殖するアイゴを釣って食べて、少しでも藻場の保全に貢献できれば幸いだ。

 余談ではあるが、アイゴに並ぶゲスト魚として名高いサンノジことニザダイも釣れたので一緒に料理したのだが、正直こちらのほうがバリ感満載の内臓だった。

ニザダイ

 まさに劣悪な環境下に置かれた公衆トイレの便器……。ニザダイは釣れたら即座に内臓を処理する必要がある。

早急な下処理さえできれば、上質なお刺身が味わえる

 味の方は脂がしっかり乗って、アイゴより味わい深く、鰭に毒もないので過小評価された魚と感じた。どちらも磯や堤防で釣れる魚なので是非ご賞味あれ!

写真=ぬこまた釣査団(大西)

釣り人から嫌われる毒魚「アイゴ」 “ヤバい激臭”を放つ内臓ごと食べてみた

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