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手紙では〈申し訳ない〉を繰り返したものの…
手紙の中で加藤は〈申し訳ない〉を繰り返し、〈当然死刑になると考えています〉と記している。だが、その一方で遺族、被害者の苦痛については、次のように書いて違和感を与えている。
〈私にはそういったもの(温かい家族、恋人、友人、同僚)はありませんので、それらが理不尽に奪われる苦痛を自分のこととして想像することができず歯がゆいのですが、おそらく、私の唯一の居場所であったネット掲示板において、私が荒らし行為によってその存在を殺されてしまった時に感じたような、我を忘れるような怒りがそれに近いのではないかと思います〉
手紙を読んだ遺族の怒りは収まらない。
「あんなにたくさんの人に危害を加える前に、自分がトラックにぶつかって死ねばよかったんじゃないかなと思う。彼の言うとおり『死をもって償いをしろ』と思います。とても情けはかけられません」(同前)
手紙の受け取りを拒んだ遺族もいた。
「手紙は送り返しました。裁判の傍聴はしません。事件を思い出してしまうし、犯人の顔を見たら、正常な気持ちを保てないからです」(別の遺族)
ダガーナイフの傷跡
事件の傷跡は、精神的にも肉体的にも、今も深く残っている。
「息子はまだ若かったし、(亡くなる)順番が逆かなと思います。他人から見れば普通の生活をしているようなイメージがあるかもしれませんが、この先ずっと普通の生活が戻って来るとはありません……」(同前)
被害者の介抱に当たっている間に、背後から刺された元タクシー運転手のAさんはこう話す。