2008年6月、死者7名、負傷者10名を出した秋葉原通り魔事件。7月26日午前、加藤智大死刑囚(39)の死刑が執行された。事件から14年目のことだった。古川法務大臣は臨時の記者会見で「被害者はもちろん、ご遺族の方々にとっても無念このうえない事件」と述べ、慎重に検討を重ねた上で死刑を執行したとした。
なぜ、数多の命は一瞬にして奪われてしまったのか。加藤死刑囚が記した手紙、遺族が「週刊文春」に悲痛な思いを語った当時の記事を再公開する。(初出:週刊文春 2010年2月4日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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「事件から公判までの約1年7カ月は非常に長かったなぁという気持ちです。早く公判を開いて、『死刑にして欲しい』との気持ちをずっと持っていました。
犯人には息子の命を奪われただけではなく、私たちの人生までメチャクチャにされた。事件直後はボーッとして、何も手につかない状態でした。職場復帰しても、体調がすぐれず、精神科に通い薬を処方してもらっていたんです。体調は今もすぐれません」(ある犠牲者の父親)
死者7名、負傷者10名を出した秋葉原通り魔事件(2008年6月)がようやく初公判を迎えた。遺族と被害者に今の心境を聞いた。
昨年11月被害者と遺族のもとに、被告の加藤智大から便箋6枚に及ぶ謝罪の手紙が届いた。
「手紙には、『(私の罪が)万死に値する』とありました。鬼畜のような心から、人間らしい心を取り戻して、死をもって償うのはいいこと。でも、報道を見聞きしている限り、彼は人生の挫折を自分のせいではなく、自分が置かれていた環境や周囲のせいにしているように思えます」(同前)