大谷が試合に出ると観客動員数が急増
2018年に登板した際には観客動員数が急増し、その流れは2021年にも続いた。
野球のデータ分析を行うベースボール・プロスぺクタスのロバート・アーサーによると、シーズン中盤には、エンゼルスの平均観客動員数が大谷登板の日は約3000人増えるのだという。
6月に新型コロナウイルスのパンデミックによる入場制限が解除され、エンゼルスが全座席を売り出すと、大谷が登板した木曜日夜の「リ・オープニングデー」には3万709人を動員した。その後の週末の連戦において、大谷はDHを務めるだけだったが、観客動員数は最高で2万3175人だった。この現象は遠征先でも発生した。
エンゼルスが6月下旬にニューヨーク入りし、水曜夜の大谷の先発登板の日には3万714人が球場にやってきた。その前の月曜日と火曜日の試合は、それぞれこれより5000人少なかった。
8月2日から5日まではテキサスで4連戦を行い、大谷登板の日は2万7360人動員し、ほかの3試合よりも約6000人増えた。
この普段より多い観客は、大谷の打撃も見たがった。2021年に少なくとも2度、ミネソタとボルティモアのホームの観客が、大谷が敬遠で歩かされる際にブーイングしたのだ。
大谷の故郷・奥州市の“熱狂ぶり”
一方で、地球の裏側にいるファンも大谷に集中していた。大谷が生まれた日本北部の奥州市では、市が毎月17日を背番号にちなみ「大谷記念日」とすると発表した。市全体で、銀行でも、レストランでも、病院でも、この日は大谷のユニフォームを着るようだ。この風習は2018年から続いている。
また、奥州市には大谷を模して刈られた田んぼまで生まれた(ただし、新型コロナウイルスのパンデミックのため人ごみを避ける目的で、この作品は2020年に撤去された)。
奥州市役所には大谷の手の彫刻が飾られ、訪問者たちはこの市が生んだ“息子”といつでも握手できるようになっている。大谷の業績への誇りは、2021年シーズンに奥州市全体でさらに高まった。奥州市総務企画部都市プロモーション課の大越克芳はこう話す。
「私たちは、ずっと大谷選手を応援していましたよ。ですが、今シーズンはまったくの別次元にいってしまいましたね。友人と話しても、街中のどこで話しても、話は大谷選手のことでもちきりです。ときどき不思議に思うんです。あんなスターが、本当にこの街で生まれ育ったのかと」