自らを「世界一の大谷ファン」と自称するカオルの凄さ
「毎試合見るたびに、必ず何かすごいことをしてくれるんです。ホームラン、盗塁、新記録達成とか。試合を見逃したら、何かを失うことになるんです」
結局カオルは、2021年に136試合を観戦し、当然、そのなかには多くの遠征試合が含まれていた。
彼女とその夫は、約5万ドルを投じ、全米を股にかけて大谷を追い続けた。彼女1人で試合に行くことも多く、同業のウェディングプランナーの仕事がある夫を残して遠出することも多かった。本人はこう明かす。
「正直、今年はウェディングプランナーとしての活動はそれほどしていないですね」
ここで彼女がしたのは、自らを「世界一の大谷ファン」と自称してブランド化することだった。2021年シーズンの初期、カオルはインスタグラムのアカウントとユーチューブ・チャンネルを立ち上げ、大谷を追っかける冒険のすべて記録に残すことにした。
このユーチューブ・チャンネルは、5月のフェンウェイ・パークで大谷が9回に決勝本塁打を放った際に一気に広まった。シーズン終了までに、彼女は15万人以上の登録者を獲得し、再生回数が200万回を超えた動画も何本か生まれた。
彼女はシーズン中、移動と動画編集のため1日1~2時間しか眠れなかったという。そして、できるだけ球場が開門するのと同時に入場するようにしているとのことだ。そうすることで大谷の試合前の準備運動も含めて、すべての動きを見ることができ、あわよくばサインももらえると期待していた。
実は、ニューヨークで一度サインをもらえる寸前までいったらしいが、ちょうど彼女の順番が来る直前で大谷はサインを止めてしまったという。
通常、カオルはライト側の席にいて、ここなら大谷のホームランボールを手にできる可能性が高いと期待しているようだ。まだホームランボール獲得には至っていないが、大谷は試合前の練習中に彼女へ2球ボールを投げてくれたという。シーズン後、彼女はプラスチックの箱に入れたこのボールを自慢げに見せてくれた。
この旅路で、カオルはほかのチームのファンも大谷ファンに転向させたという。
「最初はブーイングされていましたが、きちんと話すと試合が終わるころには私も受け入れられていて、みんなでハイファイブしていましたよ」
そう彼女は語る。また、ほかのエンゼルスファンとも親しくなり、大谷ファンとしてアナハイムや遠征先で親交を深めたそうだ。