MVP選手として迎えた2022年シーズンも、投手・打者の二刀流で活躍するエンゼルス・大谷翔平選手。その模様はスポーツ番組だけでなく、ニュースやワイドショーでも取り上げられ、その結果に一喜一憂するのが私たち日本人の日常生活と化している。
ここでは、そんな大谷選手のアメリカでの活躍の秘密を記した、エンゼルスの番記者、ジェフ・フレッチャー氏の著書『SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男』(タカ大丸 訳、徳間書店)から一部を抜粋。メジャーリーグのスターになった大谷選手の“海を越えた人気ぶり”について紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)
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エンゼルス・大谷翔平の“追っかけ女性”の正体
本拠地の公式戦で観客の入場制限を取り払ったのは、627日ぶりだった。
2020年、メジャーリーグの公式戦は新型コロナウイルスのパンデミックのため、すべて無観客で行われ、2021年も人数制限があるなかで行われた。
ついに制限が解除された日をエンゼルスは「リ・オープニングデー」と称し、スタンドが再び埋め尽くされるようになった。
この2シーズンのなかで初めてほぼ満員になったエンゼル・スタジアムの試合で、大谷が登板したのは偶然だったが、考えてみればこれほどふさわしい配役はない。
大谷は、2018年に二刀流選手としてデビューしたときも観客を集める存在だったが、観客席の門が再び完全に開かれた日に、選手としての絶頂を迎えたということだ。
カオルはウェディングプランナーで、2014年に日本からオレンジ・カウンティに移住してきたが、南カリフォルニアに来てから最初の数年間は定期的にエンゼルスの試合を観戦していたという。2018年に大谷が加わり、以降は本職の追っかけとなった。
カオル本人の証言によると、大谷の最初の2年間には約60試合を見に行ったという。だが、2021年に新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、球場が再びファンに開かれるようになると、彼女は無謀ともいえる計画を立てた。162試合すべてを観戦しようとしたのだ。
「今の私にとって、大谷翔平選手のプレーを見ることがいちばんの生きがいなんです」
2021年シーズン後に、通訳を通じてカオルが語った。