文春オンライン

読み切って3打席連発! 窮地のチームを救ったヤクルト・村上宗隆が登る“三冠王への階段”

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/08/02
note

矢野燿大監督の“男気”を読んだ3本目

 そして、試合を決める本塁打となった延長11回表の3本目。

 これは、矢野監督に対しての“読み勝ち”だったと思います。

 シチュエーションは二死一塁。

ADVERTISEMENT

 5番サンタナはすでに代走からライトに入った渡邉大樹に交代していたので、普通であれば、村上との勝負を避けてもいい場面。

 ピッチャーはプロ2年目の右腕・石井大智。

 得点圏にランナーが進んでしまうリスクを取るか、村上と勝負をするリスクを取るか。

 初球は変化球が高く浮いてボール。

 この時点でキャッチャー梅野は1塁側ベンチを何度も見ます。

 2球目、内角低めに変化球が外れて2-0。

 もう一度ベンチを見ますが、ベンチが動かないのを見て観念したのか、サインを出す梅野。

 おそらく村上は

「逃げる事を嫌う矢野監督は若い投手には必ず勝負させるはず。しかも、ここで自分を打ち取ってリベンジしたい想いが強いはず」

 と読んでいたのではないでしょうか。

 矢野監督の男気の強さは去年のあの「サイン盗み騒動」で百も承知なはず。

 だから、高めに抜けてきた変化球にアジャストし、浜風に乗せてレフトスタンドへ打つことができたんだと思います。

塩見とは意味も内容も違う3打席連続ホームラン

 チームとしては3打席連発は今シーズン2度目。5月27日の楽天戦で本能の赴くままに3打席連続本塁打を放った塩見泰隆とはまた違う、4番としての凄みを感じた3連発でした。

 チームの勝利のために最後まで全力でプレーするその姿。

 その想いからくる1球への集中力の凄まじさ。

 年々研ぎ澄まされていく読みと集中力に今季加わっているもの。

 それは、“三冠王への意欲“です。

 このモチベーションが今季の村上宗隆をさらなる高みに押し上げていると感じます。

いまや、日本球界をも引っ張る22歳

 いまやスワローズだけでなく、日本球界を引っ張る存在になりつつある22歳の若き主砲。

 この男がスワローズにいる間はずっと優勝してくれるんじゃないかと、僕は本気で思っています。

 三冠王・村上宗隆の姿がはっきりと見えた、2022年7月31日。

 スワローズファンにとっての幸せな時間は、まだまだ続きそうです!

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2022」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/56147 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

読み切って3打席連発!  窮地のチームを救ったヤクルト・村上宗隆が登る“三冠王への階段”

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
文春野球学校開講!