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無罪判決が相次ぐ中、強気で手掛けた文科省汚職
「難事件の向こう傷ともいえますが、現場の検事として関わった事件では福島県知事汚職が無罪に近い有罪判決、降圧剤の論文不正が問題になったディオバン事件では昨年6月、無罪が確定しました。本人が会見で『最も印象に残った』と振り返っていたゴーン事件でも、今年3月、共犯のケリー元代表取締役は大半が無罪となり、検察が控訴しています」(司法関係者)
とりわけケリー氏の判決では検察側が立証の柱に据えた「司法取引」の信用性がほぼ認められず、森本氏はこう洩らしている。
「屈辱だ。裁判所は司法取引をやらせたくないのか」
無罪判決が相次ぐ中、公判が長引いていたのが、森本氏が特捜部長として最初に手掛けた贈収賄事件の文科省汚職だった。それでも森本氏は、
「絶対有罪にできる。(相手の)弁護士もやりやすいから」
と強気だったという。
「否認事件だけあって、検察側の論告要旨は123頁に及んだ。公明・遠山清彦氏の貸金業法違反事件では僅か4頁だったことを思えば、その“本気度”が窺えます」(前出・記者)
結果、一審では有罪判決となったが、佐野被告は控訴する方針。“検事総長候補”の正念場は続く。