「先の一部報道であった通り、色々なことを言われてしまいました」

 7月19日の記者会見の冒頭で、羽生結弦(27)はいきなりこう切り出した。

 当日の朝、日刊スポーツが「引退」をスクープ。だが羽生は「新たなスタート」で、「ネガティブに引退とか不思議ですよね」と、笑みを浮かべながら“引退報道”を切って捨てたのだった。そこで会見中にメディアは慌てて「プロ転向」「競技者引退」と表現を変更。中継していた日テレは、藤井貴彦アナが「(テロップで)『引退』と使っていますが、新たなスタートを切る会見」と、修正する一幕もあった。

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会見では晴れやかな笑顔 ©共同通信社

「普通に考えれば『引退』で間違いではない。ただ彼は本当に『引退』と思っていない。流石に日刊を“出禁”にすることはないでしょうが、会見で口にすることで全メディアに『自分の意に沿わない表現はするな』と釘を刺した形になりました」(運動部記者)

 メディアには従わざるを得ない理由もあった。本人出演が控えていたからだ。

「会見後には各局の報道番組をジャック。そして週末にはTBS、テレ朝などが羽生選手の特番を放送した。それが出来たのも、前もって知らされていたから。自身の節目を、一大イベントに仕立て上げた羽生サイドのメディア操縦術は巧みだった。今後は、ヤメ検弁護士が代表を務める彼の個人事務所などが対応を担っていくと思われます」(同前)