幼い我が子や孫が、もし電車内で騒ぎ始めたらどう対処するだろうか。言って聞かせても効果はあって数秒だろう。スマホを与えるのも世間の視線が痛い。こんなときのとっておきの方法として著者が紹介するのが《大人が子どもの手を持ってプラプラゆすってあげたり、筋肉をモミモミしてあげたり、関節なんかを触ったりすること》。子どもが走ったりふざけたりする理由のひとつである《体に何か感覚を入れたい》という感覚欲求が、こうすることで満たされるのだという。
著者は14年目になる現役の男性保育士。保育現場で実践しうまくいった子育てのコツを、家庭ですぐ使えるような具体的な言葉や動作に落とし込みYouTubeで発信。コロナ禍の育児に孤軍奮闘する親たちに人気を博している。その内容を楽しくコンパクトにまとめた本書がヒット中だ。
「著者は子どもの行動と心をよく観察し、一方で限られた時間のなかで必死に頑張っている親たちの姿も身近に見ています。ゆえに双方に寄り添い、上から目線や説教臭さが一切ない。『あとがきで泣いた』という感想も多いんです」(担当編集者の中村直子さん)
本書に並ぶ技は未就学児以外にも使えそうだ。
「『やるべきことは指示するのではなく質問する』などは我が家の小学生にも効果てきめん。中学生でもいけるかも(笑)」(中村さん)