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「デカ盛りとか大嫌い」「味より量が優先の時点でもうダメ」食のことになると人格が豹変する“掟ポルシェ(54)の偏愛”

食尽族・掟ポルシェインタビュー #1

掟ポルシェもハマった3つの名店

 これ以上人気になってほしくないので店名は伏せますが、荻窪で水木金土夜だけ間借り営業している某ラーメン屋。羊出汁のラーメンで、ここにしかない味なんですよね。羊のガラで普通に出汁をとると白濁してしまうから、挽き肉を投入してタンパク質を吸着させることで澄んだスープに仕上げていると聞きました。画像を見ただけで食べる前から「絶対俺の好きなやつだ!」とわかりましたよ。
 
 あとは中野「LABO麺」の「しじみとアサリの塩トリュフらーめん」ですね。フレンチ出身の店主がその技法を山ほど詰め込んでいて最高で、たとえば鮭マリネのチャーシューが乗っています。ミキュイという低温調理法によって、焼き魚でも煮魚でも生食でもない食感になっています。

しじみとアサリの塩トリュフらーめん(写真提供:掟ポルシェ)

 ――ラーメンがお好きなんですか?
 
 昔はラーメンってそこまでおいしいものじゃないと思っていたんですよ。でも2011年、新宿ゴールデン街の「ラーメン凪」に出会って衝撃を受けました。煮干しの成分をありえないほど凝縮して先鋭化した、やりすぎトゥーマッチラーメンで、いわば舌で味わうナパーム・デス。そこからラーメンという食べ物が大好きになりました。今は清湯スープに中細麺が入った今風のオシャレなラーメンをよく食べてます。
 
 ラーメンの前はカレーをよく食べ歩いていましたが、五反田の「かれーの店うどん?」が一番です。カレー屋なのに店名が「うどん?」なのは、開店にあたってマスターが7歳の甥御さんに「店名は何がいいと思う?」と聞いて、「(カレーから連想して)うどん」と返されたのをそのまま採用しちゃったから。

 ほかにもややこしいポイントがいろいろある店なんですが、その盛大なややこしさ込みで愛しています。牛粗挽き肉、半熟卵、粗みじん切りにしたピクルスを組み合わせた11月限定「黄昏のロシアン」などオリジナリティあふれる限定メニューがもう最高!
 
 今は他の店でカレーを食べても「やっぱりカレーは『うどん?』だな」と思っちゃうので、他店には滅多に行かなくなりました。「これだ!」って店を一軒見つけたら、そこで決まりなんですよ。

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「デカ盛りとか大嫌いなんです」

――掟さんは上品な味付けがお好みらしいですね。女子会で使えるようなお店も紹介していて参考になります。

 デカ盛りとか大嫌いなんですよ。味よりも量が優先されている時点でもうダメ。食べきれないぐらいの量を盛るのがサービスに直結しているのって、味じゃなくて好奇心のジャンルじゃないですか。俺はすぐお腹一杯になっちゃうし、若くないのでそういうのはもういい。辛すぎて食べられないようにするのがサービスになっている激辛料理も同様ですね。もう大人なんで料理は「おいしい」が一番でいいです。