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「デカ盛りとか大嫌い」「味より量が優先の時点でもうダメ」食のことになると人格が豹変する“掟ポルシェ(54)の偏愛”

食尽族・掟ポルシェインタビュー #1

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 ミュージシャンでコラムニストの掟ポルシェは、自他ともに認める「食道楽」だ。舌に合わないものには厳しい一方で、気に入ったものは徹底的に褒める。6月16日に発売した著書『食尽族~読んで味わうグルメコラム集~』(リットーミュージック)は、自称「食べもののことになると人格が変わる」彼の独断と偏見100パーセントの語り口が人気を博している。

 実際どれだけ「食べもののことになると人格が変わる」のか? 今年54歳になり、食と健康のバランスをどのように考えているのか? 掟のエクストリームな食道楽論に迫った。(全2回の1回目/後編を読む)

「本気でやめたほうがいいと思ったんですけどね……」。最初は本にするのを躊躇したほどの掟ポルシェの「食へのこだわり」とは?

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「食べ物をdisるグルメコラム」の衝撃

――『食尽族』、拝読しました。音楽エンタメサイト『耳マン』での連載時からチェックしていましたが、ここまで食べ物をdisるグルメコラムが存在したのかと衝撃的で……。

掟ポルシェ(以下、掟) 編集者から「連載をまとめて本にしましょう」と打診されたとき、本気でやめたほうがいいと思ったんですけどね……。自分の味覚に合わないものに対してありとあらゆる罵詈雑言を並べ立てておりまして、俺の中の一番下品な部分が出た内容なんで……。だって普通、料理を作ってくれた人に面と向かって「これは不味い」なんて言いませんよね?

 子どもの頃から母親に「悪いけど、これ母ちゃんだけ食って」と言わずにいられなくてですね、申し訳ないけど食への了見が大変狭い。あとは甘じょっぱい味つけが苦手で、九州の甘い醤油への文句をこれでもかとたくさん書いてしまったんで、この本が関門海峡を渡るのは非常に危険。九州では禁書にして!
 
――でも好きな飲食店はこれでもかと褒めていますよね。
 
 嫌いなものをdisるのと同じ熱量で、好きなものへの愛情表現も並べ立ててはいますね。「自分の好きなものを皆さんにも知っていただきたい」という気持ちが強い。好きになった飲食店は、昼夜行っちゃうんですよね。昼に行って、夜に行って、次の日もまた2回行って……。
 
 仕事中も「あれうまかったな~。何が入ってるのかな~。ままかりの煮干しをスープに入れてるのかもな~」って、ずっとその店のことを考えちゃいます。結果、どんな仕事も驚くほど進みません。
 
――近年もっともハマった飲食店はどこですか?