食品や日用品の値上げラッシュにもかかわらず、給料は上がらない。ジワジワ貧しくなる時代を乗り切るため、プロが実践する投資&節約術を、「週刊文春WOMAN2022年夏号」より全文転載します。(全2回の1回目/後編を読む。年齢・肩書き等は公開時のまま)
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飲食・日用品の値上げラッシュの原因
「3年後に退職するつもりでしたが、諦めました」
先日、ある地方銀行で支店次長を務める男性(52歳)がこう漏らした。
55歳の役職定年を迎えれば給料が下がり、60歳以降はさらに半減する。仕事への意欲が失せた中、独身のため貯金はそこそこあり、帰る実家もある。65歳までの10年間であれば、貯金を取り崩して生活できるはずだった。だが、物価上昇を見て退職を断念したのだ。
飲食・日用品の値上げラッシュが起きている。帝国データバンクによれば、主要食品企業で5月末までに1万品目超の値上げが判明したが、「年内の再値上げ・再再値上げといった動きが前例にないペースで進む可能性が高い」。
物価上昇の原因はエネルギー・食糧・原材料などの国際価格の上昇だ。米国の利上げを主因とする円安がそれに追い打ちをかける。保守的と見られる日銀でさえ、今年度の物価上昇見通しを1・9%へ引き上げた(4月、金融政策決定会合)。
エネルギーや食糧も価格水準が上昇
ロシアのウクライナ侵攻の影響も大きい。
「ロシアへの経済制裁により、ロシア産原油の輸出減少で国際エネルギー価格が上昇しています。小麦生産大国のウクライナで輸出が止まり、輸入国である中東・北アフリカで小麦価格が高騰し、それに連れて国際価格も上がっています。
1979年に旧ソ連がアフガニスタンに侵攻した時、アメリカは世界から10万人を超えるイスラム戦士を集め、武器を与え、10年後にソ連軍を倒しました。今回も戦争が長期化する印象です」(資源・食糧問題研究所の柴田明夫氏)
ただ、エネルギーと食糧の価格はそれを抜きにしても上がっている。