食品や日用品の値上げラッシュにもかかわらず、給料は上がらない。ジワジワ貧しくなる時代を乗り切るため、プロが実践する投資&節約術を、「週刊文春WOMAN2022年夏号」より全文転載します。(全2回の2回目/前編を読む。年齢・肩書き等は公開時のまま)

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老後資金の問題

 2人以上世帯の平均消費支出は月約31万円(3月、家計調査)。今後、物価上昇率2%が続けば、消費支出は5年間で約76万円増える。1カ月で約1万3000円増。何とか耐えられると思うかもしれない。

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 しかし、上昇率の影響は年月を経るほどに加速していく。2%が10年続けば、新車が1台買える約350万円、15年続けば、郊外で中古家が買える約850万円も支出が増えるのだ。冒頭の銀行員が、給料減を覚悟で働き続けることを決めたのも、無理ないことだろう(シミュレーションは「知るぽると」利用)。

 さらに家賃負担も増すだろうし、物価上昇と共に金利が上がれば、住宅ローン契約者は返済負担が増す。

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 そして老後資金の問題ものしかかる。

 今年4月の消費者物価(総合)は2・5%上昇したが、4月以降の厚生年金額は903円減額され、22万円を割った(夫婦2人の標準モデル)。年金は、物価と賃金の変動率を加味するマクロ経済スライド制が導入されたことにより、物価が上昇しても上がらない可能性が出てきていたが、早くもそれが現実となった。これまで以上の老後資金の準備が必要となるのだ。

投資信託は損をするから勧めない

 今後、ジワジワと貧しくなることに対し、私たちは何ができるだろうか?

 物価が上昇すれば銀行預金は目減りするため、投資の検討が必要となる。

 初心者が勧められるのは、運用益が非課税のつみたてNISAを利用して投資信託へ投資する方法。しかし、この1年人気だった米国株関連投信がここに来て米国市場が下げに転じたため、人気に乗った人たちはいきなり損を抱えてしまった。