父、母、妻をがんで亡くし、シングル子育てがひと段落。東京・恵比寿の予約がとれない日本料理店「賛否両論」店主・笠原将弘さん(51)が、通算93冊目となる書籍『和食屋が教える、旨すぎる一汁一飯 汁とめし』(主婦の友社)を刊行。「汁とめしさえあればいいじゃないか」をテーマとする同書より、ここでは「汁を作る」の章の中から「私が大好きなみそ汁」を抜粋して、笠原さんの“推し汁“を紹介します。

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「汁を作る」

 食事に主食のめしは欠かせないものですが、汁はまいにちなくてもいいと考える人は少なくないかもしれません。でも、汁物の守備範囲はものすごく広く、献立の補足的な立ち位置のときもあれば、おかずにもなって主役を張るときもあります。変幻自在なので、日々の食事の中でもとてもありがたい存在だと思うのです。

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 食材の組み合わせや、素材からのうまみの引き出し方、味つけの仕方など、ちょっと工夫をするだけで汁は驚くほど旨くなります。手間をかけずにおいしく作る方法はたくさんあるので、そのコツを生かした、家庭でも作りやすく、くり返し作って食べたくなる汁をえりすぐってご紹介します。

撮影 竹内章雄

「私が大好きなみそ汁」

 みそ汁は、それぞれの家庭でよく使う具材が決まっていることが多いのではないでしょうか。私の家ではとうふ、ねぎ、わかめの組み合わせがよく登場していて、子どものころから大好きでした。実家は焼き鳥屋でしたから、私も店にいるとよく父がこのみそ汁を作ってくれました。おいしさは間違いないし、忙しい合間にさっと作れることもよかったのだと思います。