「お客さんを散々損させてきたので投資信託は勧めない」
こう明かすのは、証券会社の営業職を退職後、10年以上に渡り投資で生計を立てているシングルマザー(50代後半)だ。一人娘は東大に進学している。いま彼女が勧めるのが「個別株への投資」だ。
投資で成果を出すには
「業績が安定し、配当をきちんと出している、割安の株を選びます。例えば銀行株を2つか3つ。地銀は将来性がありませんが、まだ大丈夫でしょう。割安株を勧めるのは、大きな損が出る可能性が低いからです」
銀行株は総じて割安のため配当利回りが高い。年4~5%出る銘柄も多く、物価上昇率を軽く上回る。
「私は30年以上投資を続けて山ほど失敗してきましたが、市場急落のたびに個人投資家が退場していく中、生き残ってきました。投資は簡単に儲かるものではなく、ネット上で『上がる』とか『儲かる』と言っている人たちを信じてはいけません。新聞を読み、自分で考えることです」(同)
物価上昇が続けば、固定費を下げる検討も必要
生活経済ジャーナリストの柏木理佳氏は、「今回の物価上昇で、向こう1年、支出は7万~8万円増えるため、その分は節約したい」と話す。
「買物の際は、飲食品が安いドラッグストアへ先に行って、次にスーパーへ行けば20%近く節約できます。習慣的に消費するものは、定期便を利用すれば10~30%節約できる。一般商品より安いPB(プライベートブランド)商品を優先。今後価格が上がるものと下がるものを知っておくことも大切です。小麦の値上がりでパン、麺類は上がっていますが、実はお米は価格が下がっています。最後にふるさと納税では日用品を」
柏木氏は、夏は扇風機を利用、テレビは小型で、掃除機も電子レンジも使っていない。また、洋服などのリユース市場を積極的に利用しているという。
「物価上昇が続けば、固定費を下げる検討も必要です。家賃の低いところへ引っ越す、購入する場合は郊外への移転を考えるべきです」
厳しい時代の幕が開けたが、できることはある。
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