群れから外れたサルは民家近くの林などで生活するしかない
「春の終わりから初夏にかけてサルは出産のピークに入ります。サルは群れで生活する動物ですが、その中で優位のサルたちが赤ちゃんを産むと、仲の良くないサルたちは毛嫌いされたりします。そうして群れを追い出されて居場所を失ったサルが孤立したんだと思われます。サルは群れから外れると、山には別のサルの縄張りがあるので山では暮らせません。すなわち、他のサルたちのいない場所となると、民家近くの林などで生活するしかありません」
被害者の多くが子供や高齢者なのはなぜか。
「サルが民家という場所に慣れたからでしょう。はじめのうちは民家を怖がっているサルも、徐々に慣れてくると活動領域を広げてきた。民家に侵入したのは、いろいろな理由があると思いますが、もともとは食料を探してのことだったと思います。赤ちゃんを襲ったのは、連れ去ろうとした可能性が高いです。自分の子供を持てなかった若いサルというのは、雄であろうとままごとのような子育てがしたいんです。群れを追い出されたサルは通常、温もりを求めるので今回は人間の赤ちゃんを自分のままごとのために連れ出そうとしたと考えられます。サルは経験値から自分よりも弱いものを見極めますから、体格の大きい成人男性よりは、弱く見えるお年寄りには勝てると判断して襲ったのでしょう。ただ、そのうち成人男性に対しても、自信を持ったサルによる襲撃の日はやってきます」(前出・パンク町田氏)
家にある棒状のものを振り回すのが効果的
もし自宅に侵入してきたサルに遭遇した際、我々がとるべき最も有効な対処法は「棒」を持つことだという。
「サルは本能的に棒が嫌いな動物なので、素手よりも家にある傘やステッキのような棒状のものを振り回すのが効果的です。目をそらすタイミングも大事で、サルを刺激しないように目をそらすことができればよいですが、できなければ目を合わせたまま後ずさりでその場を離れる方がいいでしょう。もし、背中を見せて逃げてしまうと、サルに自信をつけさせてしまうことになり、次の被害者を出すことになってしまう可能性もあります」(同前)
町中を恐怖に陥れたサルの被害が再び起きないことを祈りたい。