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今年の「主役」は高橋一生か、竹内涼真か? テレビっ子会議2017【ドラマ編】

てれびのスキマ×スーパー・ササダンゴ・マシン×エスムラルダ×岡室美奈子

note

『脱力タイムズ』が今年も続いているという奇跡

——それでは、それぞれの2017年テレビ番組ベスト5本を発表いただけますか?

スキマ 僕は『カルテット』『光のお父さん』『陸海空』『山田孝之の元気を送るテレビ』『脱力タイムズ』です。

ササダン おお~。『脱力タイムズ』ですか?

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スキマ この番組が今年も続いていることに敬意を表して(笑)。あれだけボケに徹し続ける番組が見続けられるのは、今の時代、奇跡的だし、あの形式だとそんなにパターンがなさそうなのに、ちゃんと毎回驚かせてくれるのもスゴいと思います。
あと、今年は有田哲平の年でもあったかなと思って。『有田ジェネレーション』『しゃべくり007』のほか、『わにとかげぎす』はドラマ初主演ながらすごくよかったし。どの番組も絡む相手の面白いところを、むちゃぶりから引っ張り出しているところが有田さんのすごいところです。

 

『インパール』『人殺しの息子と呼ばれて』ドキュメンタリーの名作

岡室 私はドラマに偏っちゃうんですけど『カルテット』『監獄のお姫さま』『富士ファミリー2017』『ハロー張りネズミ』『ひよっこ』です。『僕たちがやりました』や『トットちゃん!』も捨てがたいけど。一言付け加えるなら、今年のNHKのドキュメンタリーは本当に名作揃いでした。『戦慄の記録 インパール』『731部隊の真実』『沖縄と核』。山田孝之が戦後直後をレポートする『東京ブラックホール』、ビートたけしが自らを振り返る『オイラの師匠と浅草』も秀作でした。

スキマ フジテレビの『ザ・ノンフィクション』も話題作揃いでした。特に「人殺しの息子と呼ばれて〜北九州連続監禁殺人事件〜」は今年のドキュメンタリーとして記憶しておきたいですね。あれほど見る前に気が重くなった番組もありませんでしたが、同時に見なければという思いも持たされました。

エスム 私もドラマに偏ってしまうんですが『カルテット』『監獄のお姫さま』『アシガール』『直虎』『山田孝之のカンヌ映画祭』です。

ササダン 僕は『陸王』『陸海空』と陸シリーズが続いて、『めちゃイケ』『ねほりんぱほりん』『水曜日のダウンタウン』

「サイレントマジョリティー」の声を可視化した『陸海空』

エスム コンプライアンス重視が叫ばれる世の中で、『水曜日のダウンタウン』が続いているというのは喜ばしいことなのかもしれない(笑)。

ササダン いや本当に、企業と同じでいかにリスク管理をするかが重要なんですよね。その意味で『陸海空』みたいにリアルタイムで視聴者のツイートを画面下に流す仕組みは無用な炎上を予防するセーフティネットの発明だと僕は思っていて。

 

岡室 どういうことですか?

ササダン いわゆる普通の反応が可視化されて画面に流れるわけですよね。動画の世界にあるような「wwwww」でも「面白いー」でも「キャーーーー」でも何でもいいんですけど、どうやら多くの人が面白がっているらしい、ということが画面から伝わってくる。よく、クレームは一部であって、大多数は許容していると言われますが、まさにその「サイレントマジョリティー」の声を可視化したのが、このシステムなのかなと思うんです。だから尖った番組ほどこれを採用すべきじゃないかと(笑)。

エスム 道具も使いようですね。

スキマ ササダンさん、さすがのプレゼンでした(笑)。

ササダン いえいえ、でもまあ、来年も『脱力タイムズ』や『水曜日のダウンタウン』が続くような、風通しのいい1年になるといいですね(笑)。

 

写真=榎本麻美/文藝春秋

エスムラルダ/1972年生まれ。ドラァグクイーン、コラムニスト、脚本家。著書に同性パートナーシップ証明、はじまりました。』(ポット出版/KIRA氏との共著)など。

岡室美奈子/1958年生まれ。早稲田大学文化構想学部教授。早大演劇博物館館長。専門はテレビ文化研究とベケットなどの現代演劇論。

スーパー・ササダンゴ・マシン/1977年生まれ。プロレスラー。マッスル坂井としても活躍。実業家として家業も営んでいる。

てれびのスキマ/ 1978年生まれ。ライター。著書に『1989年のテレビっ子』『笑福亭鶴瓶論』など。

INFORMATION
 

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『カルテット』『陸王』『監獄のお姫さま』はこちらでもご覧いただけます!
https://tod.tbs.co.jp/

 

今年の「主役」は高橋一生か、竹内涼真か? テレビっ子会議2017【ドラマ編】

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