TBS日曜劇場は他人事じゃないんです
エスム ササダンゴさんはどの作品がよかったですか?
ササダン 『陸王』ですね。というのも、僕、実家が金型工場でして、本当はすぐにでも継がなきゃならないんですけど、こうしてプロレスやったり、タレントやったりしてるんですよ。まあ、工場の専務もやってはいるんですけど。
岡室 まあ、専務も!
ササダン なので『下町ロケット』の頃からTBS日曜劇場は他人事じゃないんです(笑)。
岡室 NHKで今年放送した『マチ工場のオンナ』も金型工場じゃありませんでした?
ササダン 愛知県の金型や冶金工具を作る会社ですね。『陸王』見てても思うんですけど、ドラマって普通は起承転結の構成ですよね。でも、町工場系のドラマって起承転結というよりはPDCAなんですよ。プラン・ドゥ・チェック・アクション。工場の品質管理の手法がそのままストーリーテリングになっているというか。
岡室 おもしろい!
ササダン だから話のゴールがライバル企業に勝つことではないんです。むしろ、勝つことは過程であって、自社のブランディングに成功し、企業を存続させることがゴール。企業生存率って言葉があるんですけど、この時代、会社を続けていくって本当に難しいんですよ。だからこそ、人はそこにカタルシスを求めているのかもしれませんけど。悪代官を懲らしめるのと同じくらい、ドラマチックなこととして。
スキマ 日本のドラマの一つの金型が、時代劇から町工場に移ったという感じ。
岡室 ササダンゴさんの論はTBSのホームページに載せたいくらいですね。
高橋一生がよく脱がされてた1年
スキマ 『カルテット』については、僕も岡室さんもエスムラルダさんもイチオシという感じがするんですけど、とにかくここから高橋一生の2017年が始まりましたよね。もう、今年は高橋一生に頼りすぎってくらいに活躍してた1年。よく脱がされてたし(笑)。
岡室 『民衆の敵』ですね。あと大河の『直虎』。高橋一生が死ぬところで号泣しちゃいました。
エスム 私は『直虎』好きだったんですけど、みんなが知っている人物じゃないだけに視聴率的には苦戦気味でしたよね。でも、資料がない中で、よくここまでの物語を紡いだなあと、森下佳子さんの脚本のすごさに圧倒されました。森下さんはこれまで原作ものが多かっただけに、余計にそう感じました。
岡室 朝ドラの『ごちそうさん』はオリジナルでしたが、『JIN—仁』『わたしを離さないで』『天皇の料理番』……。
エスム 『白夜行』『世界の中心で、愛をさけぶ』もそうですね。
スキマ 今年の原作ものだと、僕は『アシガール』すごい好きでした。黒島結菜が主演ですけど、役者陣の健気さが伝わってきて。
エスム 愛おしいんですよね。原作ものって脚本家の力量が問われると思うんですが、『アシガール』はうまかった。原作漫画も読んでみたんですけど、原作を殺さない程度のプラスアルファがあって、ドラマとして完成させていた。脚本は宮村優子さんです。