1ページ目から読む
3/4ページ目
「駆除」という言葉は違和感
僕が好きでよく捕まえるアメリカナマズは特定外来生物だ。特定外来生物とは、簡単に言えば、もともとその地域に住んでいなかったのに、人間によって連れてこられた生き物たちのこと。在来生物を絶滅させてしまったり、生態系のバランスを崩してしまったりする種もいるので、在来種への悪影響を予防するために、生きたまま運ぶことは法律で禁止されている。
身近な特定外来生物はアメリカナマズに限らず、ウシガエル、ブラックバス、セアカゴケグモなど様々いるが……よく考えれば全部食べたな。毎回ちゃんとその場でシメて持ち帰って調理している。
ただ、本当に味が好きで食べてるだけなので、生態系を脅やかす外来種を食べて駆除する! って考えはまったくない。たまに「外来種を駆除してえらいですね」って言ってもらえることもあって、その気持ちはうれしいけど、正直、僕としてはただ食事をしているだけなのに褒められている感覚だ。
そしてもとはと言えば、人間が勝手に生き物を別の場所から運び込こんでしまっただけなので、別にあいつらが悪いわけじゃない。そういう気持ちがあるので、「駆除」という言葉自体、あんまり好きではない。
普段意識していることを強いて言えば、まだ子どもの個体はできるだけリリースすること。そして捕獲する過程で殺してしまった生き物はできるだけ食べること。生態系に悪影響を及ぼさない範囲で捕獲して、殺してしまった命は無駄にしない。あんまりえらそうなことは言えないけど、それを守るのが、人間として大事な線引きな気がする。