ザリガニの味噌汁、ドジョウ丼、カミキリ寿司……さまざまな生き物を捕まえて調理し、美味しく食べる動画を公開している“野食調理系YouTuber”のホモサピさん。

 ここでは、ホモサピさんがこれまでの野食活動についてまとめた『地球は食べ物 いきもの獲って食べてみた日記』(KADOKAWA)より一部を抜粋して「オオスズメバチ炒め」を紹介する。(全3回の3回目/野食調理系YouTuberの苦悩編クモ編を読む)

オオスズメバチの巣内部 ホモサピさんのYouTubeチャンネルより

◆◆◆

ADVERTISEMENT

 動画で食べたのは、世界最強のスズメバチことオオスズメバチの幼虫。

 子どものころからアシナガバチやミツバチには親しみがあったが、スズメバチとしっかり向き合ったのはこのときの動画撮影が初めてだった。

 集まったのは生き物仲間のヒロポンさんとおーちゃんさん。イカれたメンバーだが、スズメバチの巣を狩ろうとするやつは漏れなくイカれているので問題ない。

 きっかけは、スズメバチ動画をよく投稿しているヒロポンさんのもとに、一般の方から「家の裏にオオスズメバチの巣ができてしまったので駆除してほしい」という依頼が届いたこと。おーちゃんさんはハチ毒アレルギーで、刺されるとアナフィラキシーショックで最悪死ぬかもしれないのになぜか来ていた。オオスズメバチの巣が見たいから、らしい。やはりイカれている。

 オオスズメバチは、世界的に見てもかなり攻撃的で危険なハチだ。こっちから刺激を与えなくても、巣の近くを通っただけで威嚇してくる。威嚇飛行は左右にブーンブーンと揺れるのでわかりやすい。こっちへ来るな、刺すぞ、と脅しているのだ。すぐに立ち去れば威嚇だけで済むこともあるが、数秒ほど無視すると敵対行為とみなされて刺してくるらしい。

オオスズメバチ ©iStock.com

 テレビ番組では真っ昼間から巣に突撃しているが、普通スズメバチの巣は夜に採取する。ハチは昼行性なので夜はおとなしく、多くのワーカー(働きバチ)が巣に戻っている。夜に駆除するのは、ハチが寝ていて刺されにくいからだが、昼間だとお出かけ中のワーカーを捕り逃してしまうという理由もある。

 動画の中では僕がヘラヘラ笑っている場面もあるけど、現場はそれなりに緊張感が漂っていた。ホームセンターで必要なものを買い集め、目的地の森に到着したのは夕方4時ごろ。突撃前に全員で話し合って、しっかりと役割分担を決めた。僕とヒロポンさんは、巣の入り口に殺虫剤を全力で吹き込む係。おーちゃんさんは外に出てきたハチを粘着板で捕獲する係だ。