ザリガニの味噌汁、ドジョウ丼、カミキリ寿司、オオスズメバチ炒め……さまざまな生き物を捕まえて調理し、美味しく食べる動画を公開している“野食調理系YouTuber”のホモサピさん。
ここでは、ホモサピさんがこれまでの野食活動についてまとめた『地球は食べ物 いきもの獲って食べてみた日記』(KADOKAWA)より一部を抜粋。毒グモである「セアカゴケグモ」をはじめ、様々なクモとの出会いを紹介する。(全3回の1回目/野食調理系YouTuberの苦悩編、オオスズメバチ炒め編を読む)
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ジョロウグモ
ジョロウグモは昆虫食界の鉄板食材だ。クモは厳密には昆虫ではないが、虫というカテゴリの中ではジョロウグモはダントツで美味い。
赤いお尻と黄色の胴体のコントラストが鮮やかで、いかにも毒グモって感じがするけど、咬まれても痛いだけで特に腫れたりはしない。そして、こんなにも毒々しいのに食ってみると美味い。このギャップがいい。
山沿いを歩くときは山菜を採るような感覚でジョロウグモをひょいひょい捕る。自分の背より高いところに巣を張っている場合は、そこらへんの長めの木の棒で巻き取るのが一番手っ取り早い。そのときは、できるだけ巣の下部分より上部分の糸を切ったほうがいい。下部分を切ると上のほうへクモが逃げてしまうからだ。
調理方法は素揚げが一番おすすめ。生食はそこまで美味しくないが、素揚げにしたジョロウグモは香ばしいソラマメみたいな味になる。僕はジョロウグモのことは上質なソラマメだと思っている。
ジョロウグモを一度食べると、「クモでしか満たせない空腹感」というものを体験することができる。夜寝る前にクモの画像を検索していたら、お腹が空いて眠れなくなってしまったこともあるくらいだ。
味の話ばかりしてしまったが、ジョロウグモは糸もおもしろい。かなり強度が高くて、釣り糸みたいに使うことさえできる。
いつだったか、キャンプに行ったときに、釣り針にジョロウグモの糸を何重か巻き付けて、湖でドジョウ釣りをした。なんと、ちゃんと釣れた。見たことがない人には想像しづらいかもしれないが、ほぼナイロンみたいな感触の糸なのだ。食べることに抵抗がある人は、糸で遊んでジョロウグモライフを楽しんでほしい。