「あなたの恨み晴らします」

 テレビアニメなどエンターテイメントの世界では、不遇に苦しむ人を助ける義賊のような存在として描かれる“恨み晴らし屋”。しかし、現実で起きる事件の依頼者と実行者の物語にあるのは身勝手な動機と残忍な犯行だ――。

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Twitterで仲介...「恨み晴らし代行」とは

 事件はちょうど1年前、寝苦しい熱帯夜に突如起きた。

 2021年8月7日未明、東京都足立区のアパートに住む会社員の40代男性が、就寝中に突如侵入してきた男らに胸のあたりをサバイバルナイフで刺された。その後、男らは逃走。男性は全治1ヶ月の傷を負ったが、一命を取り留めた。後に警察が防犯カメラなどから犯人を特定し、男らは逮捕された。社会部記者が振り返る。

「襲撃時、アパートには被害男性のほか、40代の妻と長女(9)もいました。事件の一報が入った時、家族が無事で良かったと思ったのを覚えています。しかし襲撃犯のひとり、小西昴太被告(22)が逮捕されると衝撃の供述をしたのです」

「被害者の妻に頼まれた」

 小西被告はそう明かしたのだという。

※写真はイメージです ©iStock.com

「捜査を進めるなかで証言の裏を取った警視庁は、共犯として殺人未遂容疑で妻の滝田深雪被告も逮捕しました。妻には襲撃した男たちと面識はありませんでしたが、Twitter上で『恨み晴らし代行』で繋がっていたことが発覚したんです」(同前)

「恨み晴らし代行」とはどのようなもので、今回の事件の背景には何があったのか。小西被告の裁判で、その知られざる世界の一端が明らかにされた。司法担当記者が解説する。