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「情報管理、潜在的な利益相反の回避等の問題点について不足があると考えた」

 かつて上場企業の経営者たち、さらに総会運営を担う企業の総務担当者たちが名前を知らぬ者はいなかったほど「大物総会屋」として知られた人物が、近年のアクティビストの活動について指摘する。

「アクティビストの行動が活発なのか、企業の経営者がだらしないのかと言えば、その両方だ。アクティビストは企業の株主なのだから『環境問題に配慮した企業活動や投資が必要だ』『企業の経営効率をさらに向上させよ』などの発言内容、要求していることはすべて正論だ。彼らは、総会屋と違って違法なカネを要求しなくとも活動を続けていく資金力がある」

 ただ、アクティビストとはいえ、「正攻法で攻めて来ると限った訳ではないだろう」との見方も披露する。「株式の取得を進めて、経営陣が『現在の株価の5割増しで買い取るので勘弁してほしい』などと折れてくるのを待つといったことも考えられる」とも言及する。

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「正攻法とはいえ、やはり目的はカネ。東芝の場合はアクティビストを役員に入れてしまった。取締役会で会社の重要事項についての情報を正規に知り得ることが出来る。このような情報はまさにインサイダー情報だ。何でも出来る。バレたら大変なことになるが、確信的にやるのであればバレないようにやるだろう」

 一部の報道では、今年6月の東芝の株主総会後、社外取締役を辞任した綿引は株主総会で「情報管理、潜在的な利益相反の回避等の問題点について不足があると考えた」と述べて、元総会屋と同様の危惧の念を示していたという。

東芝の社外取締役を辞任した綿引万里子氏 ©共同通信社

 元総会屋や綿引が危惧するように、株式のインサイダー取引のような違法行為が発覚した場合は、個人が刑事罰に問われる。ただそれだけでなく、こうした人物を役員に選任した東芝自体も何かしらの責任を問われることになる。そうした事態は起きないとの保証はない。(#2へ続く。文中敬称略、一部の肩書は当時)