企業に対して業績のさらなる向上や経営陣の刷新などを求める「アクティビスト」と呼ばれる投資家たちの活動が近年、大きくクローズアップされている。今年6月の株主総会集中シーズンでも、多くのアクティビストたちの株主提案が大きなニュースとして取り上げられた。
その一方で、今年の株主総会集中シーズンを前に、三菱電機やSMBC日興証券、日野自動車といった有名企業の不祥事が続々と明らかになった。株主総会では社長らが謝罪を繰り返すシーンがみられた(全3回の3回目/1回目、2回目を読む)。
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2021年から次々と不正が明るみに出た三菱電機
「一連の品質不適切事案について、皆さまに多大なるご迷惑をおかけしていることを改めて深くお詫び申し上げます」
今年6月29日に開催された三菱電機の株主総会の冒頭で、社長の漆間啓は深々と頭を下げた。
漆間が謝罪せざるを得なかった不正は、2021年6月に長崎県の長崎製作所で鉄道車両向けの空調機器の検査で発覚したもので、当時の社長だった杉山武史と会長の柵山正樹が引責辞任した。しかし、検査不正は鉄道車両向け空調機器にとどまらず、同年7月には香川県の受配電システム製作所で製造した配電盤の検査不正が判明する。
さらに今年4月には、兵庫県の系統変電システム製作所・赤穂工場で、原子力発電所などで使われる変圧器での検査不正も明るみになった。この不正は1982年ごろから始まり約40年間にわたっていた。ほかの不正も数十年にわたる。三菱電機はこれまでに3回にわたって内部の調査報告を発表しているが、これですべての膿を出し切れるかどうかは不明で、今後も新たな不正が判明する可能性はある。
全盛期には約1000社の企業の株を所有し多くの株主総会を舞台に活動を続け、「バブル期などには企業から集めていたカネは年間で3億円を超えていた」と豪語する元総会屋はこう指摘する。
「30年、40年と検査不正が行われていたとなれば、トップである社長をはじめ経営陣は知っていたのだろう。社長が交代する際には、露骨な形では言わないが、申し送りがあったはず。ただ、自分が社長の在任期間中には世間にバレないようにしたいという気持ちは働く」