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東京女子医科大学病院の「ICU崩壊状態」を招いた、患者の命を軽視した経営方針と恐怖政治

東京女子医大の闇 #6

2022/08/19
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孝祐くんを失った父親「強い怒りを覚えます」

 当時2歳の孝祐くんを失った父親は、小児ICUチームの解散に続き、事実上のICU崩壊が避けられない状況について、次のように述べた。

「女子医大は、ICUの管理体制を抜本的に見直して、二度と同じ過ちを繰り返さないと、私たち遺族に説明してきました。それは全て嘘だったのでしょうか。現場の医師や看護師の努力を傲慢にも踏みにじった経営陣に、強い怒りを覚えます」

 経営陣に翻弄され続けたICUのスタッフたち。騒動の渦中にいる野村教授が、こんなことを言っていたという。

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「女子医大の良さは、自由で新しいことにチャレンジする精神でした。それがすっかり変わってしまった。反対意見さえも言えないのなら、ここで医師を教育することはできません」

野村岳志教授(集中治療科のHPより)

 これまで筆者は、週刊文春と文春オンラインで、女子医大の「疑惑のカネ」について報じてきた。さらに、国税局課税部資料調査課が、「疑惑のカネ」をめぐり税務調査を続けている。それでも経営陣の責任を問う動きは、女子医大の組織内から起きていない。

 このままでは、ICUの事実上の崩壊に連鎖して、さらに多くの医師や看護師が去っていき、女子医大は自壊するだろう。その影響を受けるのは、ここで学ぶ約1400人の学生と、命を預ける患者たちである。(前編#5を読む)

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