「土下座するつもりで、岩本理事長に謝ってもらっていいですか」
「経営陣は、小児ICUの採算性とA特任教授の給与に着目していました。岩本理事長は、『他の職員とのバランスがとれない』と一方的に給与の合意を撤回したのです。これに驚いたA特任教授は丸義朗学長に説明を求めましたが、納得のいく返答はなかった、と肩を落としていました」(同)
しかも経営陣は、A特任教授が説明を求めた行動自体を問題視した。上司にあたる、集中治療科の野村岳志教授に対して、驚くべき要求をしたという。
「医学部長らから『A先生の件で、岩本理事長に会ってください』と言われたそうです。どうしたらいいのかと聞くと、『土下座するつもりで、岩本理事長に謝ってもらっていいですか』と。もちろん、野村教授は断ったと聞きました」(同)
岩本理事長に土下座して謝る――。
もし本当なら、教育機関としてのモラルを疑う言葉だ。さらに、今年2月の教授会で、丸学長が次のような説明を行っていた。
「発言は YES という意味ではなかったのでしょうか」
「A特任教授は、カナダで年収7000万円だったので、本学で2500万から3500万の給与を要望したが、理事長は応じなかった。A特任教授と規定以上の給与の合意はない」(2/18 教授会での丸学長発言要旨)
教授会から2日後、集中治療科の野村岳志教授は、丸学長にメールを送った。全教授らにBCCで同時配信したので、公開質問状といえるだろう。
「(A特任教授が一時帰国した)2020 年1月、田邉病院長、私、A先生で、岩本理事長と経営統括部長に面談しました。私はよく覚えております。給与総額について理事長は 1、2 秒考え、『そのくらい大丈夫よね、部長』 と経営統括部長に伝え、彼は無言で首を縦に振りました。理事長から『では、頑張ってください』と激励を受けました。この発言は YES という意味ではなかったのでしょうか。
また、A特任教授は、カナダの大学でそんなに貰っていないとのことです。どうして、そのような話をされたのか、確認させてください」(2/20 野村教授から丸学長宛メールより抜粋要約)
回答を求められた丸学長は、直接答えずに、法務部の弁護士に対応させた。
「理事長との面談時にいかなるやり取りがあったにせよ、教員の給与は学長が決定する権限を有しておりますので、理事長との面談のみにより教職員との給与を確定させることはできません」(2/25 女子医大・法務部弁護士からのメールより、抜粋)
木で鼻をくくったような回答である。しかもA特任教授のカナダでの給与について、丸学長がなぜ虚偽の説明をしたのか、法務部の弁護士は答えていない。