県庁所在地、それもその県で唯一の政令指定都市のターミナルの駅となれば、もう圧倒的な存在感でそびえ立っているのではないかと思うのが人の常でないかと思う。

 たとえば、札幌、仙台、名古屋、広島、岡山。どれもこれも、同じ道・県にある他の駅を圧倒している存在だ。ならば、千葉県の県庁所在地にして人口約98万人を抱える千葉市のターミナル・千葉駅もそうに違いない。

 と、そう思ってデータを調べてみると、なんと千葉駅のお客の数は千葉県内では第4位。1日の乗車人員8万6911人(JR東日本/2021年度)だって充分多いのだが、千葉県内では西船橋駅・船橋駅・柏駅の後塵を拝している。

ADVERTISEMENT

 西船橋駅の乗車人員はなんと11万人超えで、2万人以上も水をあけられているのだ。政令指定都市&県庁所在地なのに、千葉駅。お客の数だけで価値が決まるわけでもないのだが、なんだかかわいそうな気がしてくるではないか。いったい、どんな駅なのか。

 つまりはそういう理由をつけて、千葉駅までやってきたのである。

総武線“ナゾの終着駅”「千葉」には何がある?

「千葉」には何がある?

 千葉は東京のお隣。だから近いような気がする(というか千葉県自体は江戸川を渡ればすぐだから本当に近い)が、千葉駅にたどり着くにはずいぶん時間がかかる。

今回の路線図。東京駅の地下ホームから総武線快速電車に乗って約40分。錦糸町も船橋も津田沼も通り過ぎた先にある「千葉」

 東京駅の地下ホームから総武線快速電車に乗って約40分。錦糸町も船橋も津田沼も通り過ぎた先に千葉駅がある。グイッと食い込んだ東京湾の右上の角っこが、千葉駅の場所だ。

 千葉駅に乗り入れている路線は総武線(快速・各駅停車)と内房線・外房線の3路線(正確には内房線の起点は蘇我駅)。

 総武線に関していうと、佐倉駅から成田線に乗り入れて成田空港に向かう、たとえば成田エクスプレスなども千葉駅を経由しており、1時間に1本くらいは停車もしてくれる。空港だけではなく東京と千葉を結ぶ役割も果たす、実は便利な特急なのだ。

 

 ともあれ、3路線の接続する千葉駅のホームから、橋上駅舎への階段を上る。コンコースの上の窓から、ちらりと千葉駅の構内を眺めてみると……。さすが3路線も乗り入れる県庁所在地のターミナル。ずいぶん大きいなあ、と思う。

 

 で、ここでもうひとつ気がつくのが、線路が駅の真ん中あたりでパカッと割れて、東に向かって二股に分かれていること。そう、千葉駅は線路が北東と南東に分かれる分岐点、古い街道筋の用語を使えば“追分”の駅なのだ。ちなみに、北東に行けば総武線・成田線方面、南東に行けば外房線・内房線方面である。