東京の西側に住んでいて、たとえば京王線などに乗っているとこんな車内放送が流れてくる。

「この電車は笹塚駅で都営新宿線直通本八幡行きと接続いたします」

 こちらは都営新宿線にはあまり用がないのでこんな車内放送は聞き流してそのまま新宿まで乗り続けることがほとんどなのだが、とにかく都営新宿線は京王線から直通してそのまま都心を通り抜け、終いには本八幡という駅を目指すらしい。これは明々白々、間違いのない事実である。

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「本八幡」には何がある?

 ここで問題になるのは、やはり本八幡駅がどんな駅なのか。京王線に限らず、都心で都営新宿線を使っている人もよく思っているに違いない。「本八幡行き」などと言われてもそれはどこだ、と。

 本八幡行きの電車に乗ればどっち方面に行くのかなんて、まるで見当がつかない。まあ、それを言うなら土地勘がなければ笹塚だって似たようなものかもしれないが、なんとなく本八幡のほうが最果て感があるではないか。そもそも本八幡はどこにあるのか、そしてどんな駅なのか。毎度のごとく、長駆都営新宿線に乗り続けて本八幡駅を訪れた。

都営新宿線“ナゾの終着駅”「本八幡」には何がある?

新宿線はどこを走ってる?

 本八幡駅は都営新宿線で笹塚駅から約50分、新宿駅からだと約40分の場所にある。途中で山手線のど真ん中を横切る新宿線だが、これがまたなんとも言えずに微妙なのだ。

今回の路線図。「本八幡」は東京都交通局では唯一の千葉県内の駅だ

 新宿三丁目や市ヶ谷、神保町といった誰もが知っているような町も通っているが、一方では岩本町や森下、大島、船堀、瑞江などなど、あまり馴染みのない駅名が続く。他の地下鉄との乗り換えもいまひとつ具合が悪く、そんなわけで東京の地下鉄の中ではとりわけ地味な路線だと思っている。そんな路線の終点だから、本八幡はさぞかし地味な駅なのだろう。

 そう思いながら、そしてうとうとしながら電車に揺られた。電車はいつの間にか江戸川を渡り、東京の中心をすべてぶっ飛ばして千葉県に入る。本八幡駅は新宿線が千葉県に入って最初の、そして東京都交通局では唯一の千葉県内の駅である。