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「ファンがチームを強くすることはできるのか?」元ヤクルト名物応援団員が考えたひとつの方法

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/09/04
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初めての人にはその人だけに楽しんでもらうよう、ピンポイントで盛り上げる

応援団時代の筆者 ©佐々木誠

 そんなとき、全体を盛り上げようとするのではなく、その人だけに楽しんでもらうようにピンポイントで盛り上げると、周りもつられて盛り上がる(さざなみ効果というらしいです)。中心にいた人は、試合の内容は覚えていなくても、楽しかったという思い出が強く残って、また来よう!と思ってくれて、今後の人生をスワローズに捧げてくれる(かもしれない)。

 これって、全然難しい話ではなくて、たとえば球場で応援しているとき、周りに傘持っていない人がいたら貸してあげたり(まずは点を取ってもらわないといけないのだけど)、球場で上がる花火が見えやすいようにちょっと傾いたり、どこから上がるか教えてあげたり、周りの人に楽しくなってもらおう!という気持ちと、自分も楽しむ気持ちがあれば「ファンがファンを増やせる」のだと思います。

苦しそう、辛そうにしているところには、わざわざ人は集まらない

 もちろん、チームが勝つことが最大のファンサービス。勝つことでファンが増える。それはそう。間違いない。

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 でもスワローズだけがプロ野球チームじゃないので、力が拮抗することもあれば相対的に相手が強くなる時もある。

 負けたら辛いし、愚痴も言いたくなる(私だって表に出さないだけで言いますよ?)。

 でも苦しそう、辛そうにしているところには、わざわざ人は集まらない。

 辛いときでも、楽しそうにしているところを見たら、球場だけじゃなくSNSとかでたまたま見かけた人も「なんだろう、楽しそう」と思ってくれる。

 ファンがファンを増やす。

 最初はどんなきっかけだっていい、「村上選手が見てみたい!」、「生ビール半額ナイター行きたい!」、「声優さんの始球式を見たい!(松嵜麗さんおめでとう!)」。なんならビジターチームのファンだって、神宮球場に足を踏み入れれば、その入場料はスワローズの選手の年俸です。球場に来た人に楽しい思いをしてもらって、逃がさないように……いや、また来てもらおう。

実は、「ファン」と名乗る敷居が一番低いチーム

 ファンが(比較的)少ない、そして神宮球場という立地、雰囲気……スワローズは12球団で「ファンと名乗る敷居が一番低いチーム」だと私は思っています。

 もしこの記事を読んでいる人がスワローズをよく知らなくて、ちょっと行ってみようかな、と思ったとしましょう。

 球場に行ったらスワローズファンみんなが全力で楽しい雰囲気でおもてなし。それに呑まれて一言でも「がんばれー」と言ったなら、あなたはもうスワローズファンです。

 ようこそこちらの世界へ。歓迎します。

 さあ、スワローズの未来(と将来、村上選手の年俸が払えるかどうか)はスワローズファン自身にかかっています。

 未来のために、ファンを増やそう。

◆ ◆ ◆

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