「年収600万~700万以上の男性と結婚したい」
――なるほど……。それは男性サイドにも言えそうですね。理想を追ってしまうというか。一方で、恋愛に積極的になれない男性もいます。
荒木 本当は恋愛して結婚したいって思いがあったとしても、そのもっと2~3段階ぐらい手前にいる男性ってたくさんいると思うんですね。女性たちに話を聞くと、年収300万円の女性も、年収700万円の女性も、「年収600万~700万以上の男性と結婚したい」と言うんですね。
前者は、「相手がある程度稼いでいる人じゃないと困ります」と言うし、後者は「学生時代から頑張ってきたのに、私より努力していない男性は尊敬できないから好きになれません」って言うわけです。
どっちの言い分もわかるけど、男性からしたら荷が重すぎるよって。需要と供給のバランスが取れていないわけで、国がきちんと政策なりを打ちださないと大変なことになると思う。それに、時代の気分もずっと暗いままだよね。
バブルの功罪
――やっぱりバブルのときは明るかったものですか?
荒木 私はあんまり好きじゃなかったけど、素敵な女性を見かけたら、男性は「声もかけないなんて失礼だろう」みたいな文化がありました。とにかく積極的。バブルって競争社会でもあったから、たくましくなれた部分が多大にあった。いろいろ悪く言われがちなバブルですけど、そこは功罪の「功」の部分だと思いますよ。今は、世代関係なく女性から「エーッ」って顔をされたくないと考える男性が多いじゃないですか。
――嫌な思いをしたくない、ハズレを引きたくない。そう考える人は多いですよね。
荒木 うちの主人は、私との結婚で再再婚になるんだけど、まあまあ痛い目に遭っているわけですよ。痛い目を見ている人間のほうが人に優しくなれるし、人の感情を読み取る能力も上がる。傷つかないで成長するなんてことはありえない(笑)。コミュ力を上げるとか、人間的に成長するって仕事じゃないんですよね。恋愛のほうが急成長すると、私は思うんだけどなぁ。
若い人がよく「恋愛は億劫」って言うけど、その気持ちはわからないでもないんだけど、何かの間違いで良い流れが自動的に来たらいい――なんて思っていたら大間違い。そんなことはないから! 手堅く攻めることが現実的とは限らないからね。もし、再び日本の景気が良くなったとき、そういう男性ばかりになったら、心もとないと思わない?
写真撮影=志水隆/文藝春秋
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