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凛さんは「なんだよ!」と少し怒った声を出したのだが、アシスタントの男の子は慌てふためくばかりだった。
「たしかに乗ってたんですよ!」
アシスタントが見たものは…
とにかく彼を落ち着かせて話を聞くことにした。
彼がエレベーターに荷物を載せようとしたときに、先客のホストらしき男が先に扉の前で待っていた。
エレベーターかご内は小さいため、彼はそのホストをやり過ごして次の便で行こうと思った。
そして扉が開いて乗り込むホストの横顔を見たときに彼は驚いた。
そのホストは同じビル内にある別店舗のSだったのだ。Sは歌舞伎町で顔の知られたホストだった。
そしてアシスタント君は、Sが乗り込んだエレベーターの階数表示がまったく動かないから、ずっとそれを見ていたのだと言うのだ。
「そんなんあるわけないじゃん」
凛さんは言った。そうなのだ。そんなことあるわけないのだ。
「だってSは先週首つって……」
そして……
そんな話を教えてくれた凛さんは、今夜も歌舞伎町で写真を撮っている
「まぁここではよくあるっすよね」
そうか、よくあることなのか。
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